~電通だけじゃない過酷職場の悲鳴~

      2017/02/07

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「電通だけじゃない過酷職場の悲鳴」

と題した記事が、
今週の「AERA '16.10.24」に掲載されておりました。

そこには、
亡くなられた入社1年目の女性社員が残した記録や、
関係者や専門家からのコメントが載っていました。

私自身も、今回の電通さんのことにつきましては、
これまでfacebookやブログを通じて、
「当事者として、専門家として」などで
その想う所を述べてさせて頂きました。

ただ、このAERA記事を通じて、
再認識しなければいけない、
と痛感したことがあります。

それは、
過酷な労働条件で働いているのは、
電通さんだけではないということです。

例えば、
労災の「精神障害」に関する認定件数は、
10年で4倍に激増しています。

具体的に2015年度では、
精神障害に関する請求件数は、
1515件

うち労災支給決定件数が、
472件

さらに自殺で労災支給が決定された件数が、
93件

一方で、

労災の「脳・心臓疾患」に関する認定件数は
2015年度では、
請求件数が、795件
支給決定件数が、251件
うち死亡で支給決定件数が、96件

つまり、昨年度では、
仕事を通じて、命をなくされた方が、
メンタルとフィジカルを合わせますと、
189人にのぼっています。

また、

労災の請求件数と認定件数ともに
メンタルの方が、倍近くになっており、
働く人のメンタルヘルスをめぐる状況は、
年々悪化しています。

先の私のfacebookの投稿
(2016年10月15日~当事者として、専門家として~)
に書かせて頂きましたが、

「死ぬまでやらなければいけない仕事など
あってはいけないのです。」

しかし、現実には、メンタルヘルスの状況は、
悪化しています。

では、このような事態に企業はどうすればいいのか。

それは、企業内・事業所内において
メンタルヘルスの取り組みを行うことです。

ちなみに2013年での実施率は、
60.7%。

まだ、4割の会社がメンタルヘルスについて
何の取り組みも行っていない現状があります。

では、メンタルヘルスの取り組みを行っていれば、
労災や、病気や命を落とすことから防げるのか?
と問われば残念ながら、そうではありません。

おそらく電通さんでは、
相当なエネルギー・時間・費用をかけて、
専門性の高いメンタルヘルスの
取り組みを行っていたと思われます。

通常、企業や事業所の中でメンタルヘルスを進めるやり方は、
専門的には、2種類。

① 社内の産業保健スタッフによるケア
② 社外のメンタルヘルス専門機関の活用*
*通称、EAPと呼びます
(Employee Assistance Program
従業員支援プログラムを提供するプロバイダー)

電通さんは、これらに加え、
福利厚生や人財育成、さらには労働組合など
多方面から、メンタルヘルスへの
対策をとっていたことでしょう。

なぜなら、
過去に起こった出来事を教訓にするために。

それは、1991年に起こった過労による自死。

それが民事訴訟になり、2000年に最高裁判決で、
企業の安全配慮義務違反となったからです。

今回、本当に不幸にも再発をしてしまいました。

では、メンタルヘルスの取り組みをどうしたらいいのか
それをストレスチェック・コンサルタントの私なりに
考えてみたいと思います。

結論としては、
社内に「機能するメンタルヘルス体制をつくることです!」

AERAの記事の中で、筑波大学教授の松崎一葉先生が
ご指摘された点と共通の部分がございます。

現在、会社の中でメンタルヘルスの取り組みを担う
中心的な役割を果たすのは、
実質的に、産業医を中心とした産業保健スタッフです。

なぜなら、労働安全衛生法で、
従業員の労働衛生を推進するのが
産業医等の役割と義務づけられているからです。

ですから、
多くの大企業では、産業医の先生を中心に
産業保健スタッフがそれぞれの専門性を活かして
従業員に向けたメンタルヘルスの取り組みを行っています。

また、

外部のEAP機関も
活用しているところもほとんどでしょう。

このように大企業では、
社内と社外の両面から、専門性の高い、充実した内容をもつ
メンタルヘルスサービスが受けられる環境にあります。

多くの中小企業では中々実現し得ない
恵まれたサポート環境が、大企業にはあります。

しかし、ここに大企業ゆえに、
起こりやすい問題を抱えている場合もあります。

それは、早い話が、
必要としている人たちに届いていない!
という現状です。

つまり、たくさんのサポートやサービスはあるのに、
活用されていないということです。

内部スタッフと外部の資源の融合が
うまくいっていないと、
会社が目指すメンタルヘルスの想いとその価値が、
現場社員にまで浸透していない課題を
抱えやすくなります。

この課題を解決するためには、
資源の最適化を行う必要があります。

そのやり方については、また明日以降に
ご説明させてください。

ただ、さらに
会社の中でメンタルヘルスを機能させるやり方を
再確認されたい場合は、本サイト【ストレスチェックの教科書】をご活用ください。

具体的には、「1.理解するストレスチェックとは、どんな制度?」の
「3.これだけは知っておきたい、ストレスチェック制度に関連した指針等」にポイントをご説明しております。

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