3.実施する① ストレスチェック

      2016/10/13

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ストレスチェック シートと鉛筆

実施の手順は、これだけおさえておけば大丈夫!
ストレスチェックでやるべきことは、ストレスチェック→面接指導(→集団分析=努力義務)→監督官庁へ報告です。

「3.実施する」①~④では、ストレスチェック制度を具体的に実施するにあたって、その手順をご説明します。
「誰が、何を、どのような手順で実施したら良いか?」その一例をお示しめします。 全体のイメージを膨らませ、自社にあわせてご対応ください。

まずは、何をしなければいけないのか、次の図*から全体像を把握しましょう。
*厚生労働省労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、次の通りの流れとなっています。ストレスチェックと事後措置までの流れ フロー図

本サイトでは、ストレスチェックから事後措置までの流れを、実務的な面からとらえて、具体的にどのような手順で、誰が何をすればいいかを説明します。

まずは、ストレスチェックの実施に関わる取り組みについて、1.ストレスチェックの実施と、2.ストレスチェックの実施後に分けます。
そして、それぞれを5つのステップにまとめましたので、各ステップで誰が、何をしたらよいのかご参考にしてください。

 

1.ストレスチェックの実施

ストレスチェックを実施する時期としては、次の3パターンが想定されます。
(1)ストレスチェックを単独で実施(期間を決めて全社員一斉)*
(2)健康診断と合わせて実施①(期間を決めて全社員一斉)
(3)健康診断と合わせて実勢②(誕生月で個別に実施)

本サイトでは、(1)*を想定して、その手順をご説明します。

step 実施の手順の内容 企画者 事業者 実施者 従事者 関係者
1-1 開始直前の準備
1-2 開始のお知らせ  ◎
1-3 受検(=回収)状況の確認
1-4 受検の勧奨(=リマインド)
1-5 締め切り

*1)ストレスチェック制度に関わる役割を担う者は、以下の通りに分類しています。
企画者:ストレスチェック制度全体の企画・運用・管理を担う者
事業者:管理監督者を含む事業者
実施者:産業医・保健師等
従事者:事業者から任命された、実施の事務に従事する者
関係者:外部機関を活用する場合の関係者

*2)各自が果たす役割について、貢献レベルを表した印をつけましたので、一つの目安にしてください。
(=★メイン、●主力、◎サブ、空白は必要に応じて協力)

1-1 開始直前の準備

開始の準備 システム手帳で計画■対象者リストの作成
・2種類あると便利です。
・1つが個人向け:ストレスチェックの受検状況を把握するための個別リスト。
・2つが組織向け:職場環境の集計・分析に活用するための組織分析リスト。

■ストレスチェック・アンケートの確認
・インターネットを利用してオンラインでやる場合は、システムの動作環境を確認しておきましょう。
・紙媒体でアンケートを配って行う場合は、配布先、部数等を確認しておきましょう。
・関係者はあらかじめストレスチェック・アンケートを受検していると、従業員への理解も高まると思います。

■全体スケジュールの確認
・従業員の方にきちんと周知するために、全体スケジュールを確認しておきましょう。
・特に、締め切り日や、提出先、担当部署・名前、アンケートのやり方など。

1-2 開始のお知らせ

ストレスチェックの当日、実施者は、すべての対象者に開始の旨(回答期限、回答・提出方法)をお知らせしましょう。

その目的は、受検参加率(=回答率)を上げるためです。初めての取り組みなので、従業員にとっては、周りの様子を見ながら受検するタイミングを伺っています。
そのため、ストレスチェックを紙媒体で行う場合は、特に提出方法については、きちんとアナウンスをしておきましょう。
提出先や、提出日が明確になっていないと、対象者が提出するタイミングを失い、未提出となる可能性もあり得るからです。

ストレスチェックの開始のお知らせは、事業者や実施者があらためて行うことで従業員の意識は高まります。また、それ以外の方法も使って、全従業員にきちんと情報が伝わるように工夫しましょう。

メンタルヘルスの状況は、それぞれの事情があると思いますが、お知らせの内容は、明るいメッセージも含まれていると、より興味を示してくれるかもしれませんね。

1-3 受検(=回収)状況の確認

ストレスチェックが開始されたら、従事者は、受検状況(紙媒体で行う場合は回収状況)の確認をしましょう。
オンラインで実施する場合は、おそらくリアルタイムで把握できるかと思われます。
紙媒体で実施する場合は、調査票を回収しながら確認となります。

そのため、事前に対象者リストをつくって置き、随時受検状況を把握できる体制をつくりましょう。
また、対象者がアンケートを提出する際、紛失などしないように厳密に記録・管理をしましょう。

受検の時期は、予測はしづらいかもしれませんが、やはり実施期間の後半に集中する傾向があるようです。
しかし、受検率を上げるためには、随時、受検状況を把握し、実施期間の半ば頃には、未受診者への受検勧奨を行うといいでしょう。

1-4 受検の勧奨(=リマインド)

リマインド シートにチェックイメージ図受検(=回収)状況に応じて、未受検者の従業員に対して、ストレスチェックの受検を促し、多くの従業員への参加を呼びかけましょう。 その際には、実施者や実施事務従事者だけではなく、管理監督者や事業者からも受検勧奨はできます。

そのために、管理監督者や事業者も自らが率先して、受検をする必要があります。

初年度でもあるため一般の従業員は、上司や先輩や、あるいは周りを見て、受検するかを決める傾向があります。
まずは管理者の方は積極的に受検することで、全体の気運を上げることがでうそうですね。

1-5 締め切り

締切厳守を心がけたいです。しかし中には、締め切り日を勘違いしている対象者もいます。
そのためできれば、締め切り3日前に、もう一度、全体に・個別に受検の勧奨を行うことはお勧めです。

そして、締めきった後は、個人(・組織)結果を通知するための集計が必要になります。
その集計・結果の通知は、どのようなストレスチェックのシステムを採用するかによって、異なってきます。

外部機関に依頼すれば、集計、個人結果の通知、組織分析などに対応してくれます。
一方、自社で内製化することもできます。
いずれにしても、締め切りの際には、きちんと受検状況や提出状況を把握して、漏れなく結果につながるように処理しましょう。

 

2 ストレスチェックの実施後

ストレスチェックは受検をしたら終わりではありません。これからが本番です。
なぜならストレスチェックはその結果を活かしてこそ、その目的を達成することになるからです。

具体的には、ストレスチェックの結果を見て、セルフケアへの意識を高め、日頃の心の健康づくりにつながることが期待されます。
では次に、ストレスチェックの実施後の手順(面接指導を除く)をご説明します。

step 実施の手順の内容 企画者 事業者 実施者 従事者 関係者
2-1 受検者に結果の通知
2-2 結果の活用を促す①セルフケア
2-3 結果の活用を促す②相談窓口
2-4 結果を把握するなら同意が必要
2-5 事業者に結果を通知する場合

*1)ストレスチェック制度に関わる役割を担う者は、以下の通りに分類しています。
企画者:ストレスチェック制度全体の企画・運用・管理を担う者
事業者:管理監督者を含む事業者
実施者:産業医・保健師等
従事者:事業者から任命された、実施の事務に従事する者
関係者:外部機関を活用する場合の関係者

*2)各自が果たす役割について、貢献レベルを表した印をつけましたので、一つの目安にしてください。
(=★メイン、●主力、◎サブ、空白は必要に応じて協力)

2-1 受検者に結果の通知

結果の通知 手紙のイラストストレスチェックが終わったら、1カ月以内には、結果を受検者に知らせましょう。
その際、特に、紙媒体で結果を通知する際には、プライバシーに配慮しましょう。
例えば、『親展』扱いにすると受検した当事者は、より安心することと思います。
また、結果を配布する際、デスク等の上に置いておくのではなく、健康情報を取り扱う貴重なものなので、紛失をさせないためにも、受検者に直接手渡しをして、確実に通知しましょう。

実施方法として、オンランと紙媒体とを併用している事業者様の場合、結果の通知については、あえて紙媒体に統一してタイムラグを出さないように工夫されているやり方もあるようです。
いずれにしても受検の結果の通知については、受検者への配慮ある方法にしましょう。

ストレスチェック結果の通知には、次の3点の情報を入れておましょう。
(1)自分自身で行うセルフケアに関する助言・指導
(2)面接指導の対象者には、申出窓口と申出方法
(3)面接窓口以外でストレスチェック結果について相談できる窓口

2-2 結果の活用を促す ①セルフケア

ストレスチェックは、その結果を見て終わりではなく、その結果をもとに新たな気づきや、行動につながるようなセルフケアを促しましょう。
そのためには、情報提供が大事になってきます。なぜなら、ストレスチェックの結果を活かすには、ストレス全般の知識が必要になってくるからです。

例えば、結果を見て「ストレスが高くないから大丈夫」とか、「ストレスが高いから良くない」という断片的な把握では、セルフケアの考えでは、不十分と言えます。
なぜなら、自分の健康を守り、さらに良くするためには、ストレスとの付き合い方を広げてもらう必要があるからです。

そのため、ストレス全般のことや、心の健康(=メンタルヘルス)教育が必要になってきます。そのように、セルフケアへの取り組みも少しずつ取り入れていきましょう。
担当者の方としては、ストレスチェックを社内の心の健康づくり活動に反映させて、社内に根づく取り組みにつなげたいですね。

2-3 結果の活用を促す ②相談窓口

ストレス対処 リラックスの選択の重要性 イメージストレスチェックを初めて行う従業員の方は多いと思います。だから、ストレスチェックの結果を紙で知らされるだけでは、理解できないこともあるかと思われます。
そのため、ストレスチェックの結果が仮に高くない場合でも、気軽に相談できる体制を作っておくことも大事です。

今後ストレスチェックは、毎年行っていくことになります。従業員の方への理解を広げ、深めていくためには、アフターフォローの体制として相談窓口があると、セルフケアへの意識を高められるのではないでしょうか。
そのため、実施者等の方々は、ストレスチェックにおける高ストレス者の方への対応だけでなく、誰からもご質問やご相談を受けられる対応が必要になってくるかと思われます。

しかしながら、諸条件で社内に専用の相談窓口を設けられないこともあるかと思います。本サイトでは、情報提供として、誰もが利用できる相談機関や相談窓口の情報をご紹介する予定です。

2-4 結果を把握するなら同意が必要

事業者が対象者のストレスチェックの結果を把握することができます。
しかし、その場合は、対象者一人ひとりに同意を得ることが必要です。だから、同意が得られなければ対象者の結果を把握してはいけません。この点が、一般の健康診断と違う点ですので特に注意が必要です。
但し、実施者と従事者については、職務の性質上、事前同意なく結果を把握することができます。

事業者としては、対象者が同意をしないからといって、その従業員が不利益となるような対応を行ってはいけないことが、法律で明確に禁止されていますので、きちんとその趣旨は理解しておきましょう。

では受検者の結果を把握するための同意の方法として、そのタイミングや、やり方が次のように定められておりますので確認しておきましょう。
【同意取得のタイミング】
■ストレスチェック実施前 = ✖
・実施前は、結果がわからず、他人に知られたくない結果が出る可能性があるため。

■ストレスチェック実施時 = ✖
・実施時も、結果がわからず、他人に知られたくない結果が出る可能性があるため。

■ストレスチェック結果を個人に通知後  = 〇
・結果を受検対象者自らで判断し、関係者なら問題ないと本人が考えたため。

■本人から同意しない旨の申し出がない限り、同意したとみなす方法 = ✖
・会社本位の取り組みでは、従業員からの理解と協力は得られづらい

また一方で、事業者として対象者のストレスチェック結果の把握を行わない、という選択肢もあります。
その場合は、このような同意を求める手続きは、不要となります。

大事なことは、事業者として、従業員の個別の結果の把握をするかどうかを決める必要があります。
そのため、もし把握したいのなら、その目的をきちんと、衛生委員会等で調査審議をした上で決めましょう。

2-5 事業者に結果を通知する場合

事業者に結果を通知するために必要な同意は、ストレスチェックを実施している実施者から、受検者に個別に確認することが望まれます。そこで、同意が得られたら、実施者は、事業者にその受検者のストレスチェック結果を知らせます。

ただし、その同意を得る手続きの際には、受検者が個別に同意した旨の証を残す必要があり、同意書などで、その旨を記録し、保管することが必要です。保管期間は5年間と定められています。

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 - 導入マニュアル3.【実施する】