3.実施する➂ 集団分析と、職場環境の改善

      2016/10/13

LINEで送る
Pocket

集団分析 イメージ図

ストレスチェック制度における3つ目の取り組みとして、集団分析があります。これは、努力義務とされていますので、行うかどうかは各事業所の判断となります。

厚生労働省としてあえて努力義務としているのは、職場のメンタルヘルス改善には、従業員個人への取り組みだけでなく、働きやすい職場環境を整えることが、働く人にも会社にも望ましいことと考えているためです。筆者の経験からも費用対効果などの点からも、集団分析や職場環境の改善活動を通じた取り組みを行うことは、お勧めです。

ストレスチェックと面接指導の実施に係る流れ(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル:厚生労働省)』では次の通りです。

★ ストレスチェックの結果を職場ごとに集団分析

↓ 集団的分析結果を事業者に提供

★ 職場環境の改善のために活用

本サイトでは、上記個所にあたる集団分析の取り組みを大きく分けて2つ【1.集団ごとの集計・分析】と、【2.職場環境の改善活動】に分けて、その取り組み方をご説明します。

目次

1. 集団ごとの集計・分析

わが社を理解する実施者は、個人のストレスチェックの結果を集団ごとに集計・分析して、集団ごとのストレスの状況を把握するよう努める必要があります。

➡ 1-1 本取り組みの目的と背景を理解する

取り組みの目的は、職場の集団ごとの集計・分析を行い、職場環境の改善を図ることを通じて、メンタルヘルス不調を未然に防止するだけでなく、生産性の向上にもつなげるためです。
働きやすい環境を整ることでやはり個人向けの対応だけでなく、職場環境が改善するほど、従業員が抱えるストレスも改善され、職場の活性化や生産性の向上も期待できます。

これまでの職場の心の健康づくりでも集団分析を行うことは、推奨されていましたが、どちらかと言えば、取り組んできた事業者様はあまり多くはありませんでした。なぜなら、集団ごとの集計・分析に必要な個人データを得えることが難しかったからです。

それが、今回のストレスチェック制度の義務化に伴い、個人データの積み重ねによる集団としてのテータを得られることになったわけですから、事業経営の一環として積極的に活用できるチャンスと言えるのではないでしょうか。

➡ 1-2 本取り組みのルールを確認する

1-2-1 集計の方法

集計 電卓集団ごとの集計・分析の具体的な方法は、使用する調査票によって違います。本サイトでは、厚生労働省が推奨している『職業性ストレス簡易調査票』から集計・分析できる『仕事のストレス判定図』という集計の方法をもとにご紹介します。

『職業性ストレス簡易調査票』は、質問項目が57項目と、簡略版の23項目との2種類ある調査票です。自社開発をしている特別な事業所でない限り、全国の事業所がこの調査票から集計されてくる『仕事のストレス判定図』をもとに集団の集計・分析をしているのが実情です。

この項目に加えて、ストレスチェックを提供している民間のメンタルヘルスを提供する会社や病院等は、独自の調査項目を開発して、分析できるようなサービスを提供しています。そのため、集団分析をする上では、どの調査票を使用するかが決め手になりますので、費用も含め数社からサンプルを取り寄せて検討されてはいかがでしょうか。

1-2-2 集計できる集団の単位

集団分析では、個人ごとの結果を把握するものではないため、実施者は従業員の同意なく、その結果を事業者に提供できます。ただし、10人を下回る場合には、個人が特定される恐れがあることから、その場合には、その従業員全員からの同意が必要です。

しかし、その運用の一部が改訂されました(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル2016年4月改定)。
それは、「集団ごとの集計・分析に関する下限人数の例外」が追加され、早い話が、10人未満であっても、個人特定につながり得ない方法で実施する場合に限っては、従業員の同意なしにデータを活用できるということです。
但し、この手法でも、2名といった極端に少ない場合は、個人特定につながるために不適切とされていますので注意しましょう。

1-2-3 保存期間

集団ごとの集計・分析を行った場合には、5年間保存することが望ましいとされています。
集団の傾向を把握するには、単年だけではなく、経年での変化からも捉えると、集団の状況がより深く把握できることにもなります。

1-2-4 不利益の禁止

集団ごとに集計・分析を行うということは、集団ごとの状態が数字として表れるため、数字が独り歩きしやすくなります。
そのために、その集団の管理監督者等の不利益が生じないように気をつけねばいけません。あくまでも、職場の環境を改善するために、その数字を活用することが望まれます。

➡ 1-3 本取り組みのやり方を決める

本サイトでは、集団ごとの集計・分析を行うにあたっては、『仕事のストレス判定図』を使用することにしますので、それをもとにご説明します。

1-3-1 『仕事のストレス判定図』とは何か?

仕事のストレス判定図 イメージ図それは職場集団のストレスを把握・分析するための判定図というツールです。職場のストレスが、働く人の健康にどの程度影響を与えているかを数値化し、グラフ化した図です。

職場は個人が集まって仕事をする場所。その職場には、目には見えない仕事のストレスがたくさんあります。日々、仕事をする上では、意識の有無に関わらず職場から多くのストレスを受けています。

仕事のストレス判定図は、そのような職場のストレスを測り、それが働く人の健康にどの程度影響をあたえているものなのか、「健康リスク」という数値化されたレベルで職場の健康度を知ることができます。
そして、特筆すべきは、全国2.5万人の調査データと比較できる点がとても参考になります。

仕事のストレス判定図はもともと、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の川上憲人先生が中心に、平成7~11年度労働省「作業関連疾患の予防に関する研究」によって開発されたものです。
次のように説明されています。「仕事のストレス判定図は、職場や作業グループなどの集団を対象として仕事上の心理的なストレス要因(ストレッサー)を評価し、それが従業員のストレス反応や健康にどの程度影響を与えているかを判定するための簡便な方法です。」

1-3-2 『仕事のストレス判定図』でわかることは?

集団ごとのストレスの度合いと、健康リスクです。詳しくは以下の図にあるA・B・Cです。

A:仕事に関連した4つのストレス尺度の程度がわかります。
A-ⅰ:仕事の量的負担
A-ⅱ:仕事のコントロール
A-ⅲ:上司からの支援
A-ⅳ:同僚からの支援

B:仕事に関連したストレスの程度と、その健康リスクがわかります。
B-Ⅰ:仕事のストレスにおける健康リスク
→その職場全体においてストレスがかかっている度合

B-Ⅱ:緩衝要因における健康リスク
→その職場全体においてストレスを和らげる度合
(職場で上司や同僚からの支援があるとストレスは和らげられる効果があります)

C:総合的な健康リスクがわかります。
B-ⅠとB-Ⅱをかけあわせた、その職場の総合的な健康リスクがわかります。 総合健康リスク 解説図

1-3-3 職場の健康状態は「健康リスク」でわかる

下記3つの健康リスクは、全国平均*を100と設定されていますので、その値と比較して健康上のリスクを捉えます。
① B-Ⅰ仕事のストレスにおける健康リスク
② B-Ⅱ緩衝要因における健康リスク
➂ C  総合した健康リスク

・そのため、貴職場が100より高ければ、ストレスが高く健康リスクも高いということになります。
・全国平均*とは、過去3年間、2万5千人を対象にした国の研究の中で算出された標準集団の平均です。
・例えば、ある職場でのB-Ⅰ仕事のストレスにおける健康リスクが110の場合
⇒その職場において健康問題が起きるリスクが、全国平均と比較して10%大きいと評価できます。
・健康リスクの値、120以上は、職場でいろいろなストレスの問題が表れている場合が多いと判断できます。

➡ 1-4 「仕事のストレス判定図」のこのように見ましょう

これが「仕事のストレス判定図」です。

仕事のストレス判定図 使用方法

1-4-1 「仕事のストレス判定図」に記されている2つのグラフと、1つの表

仕事のストレスにおける健康リスク
・横軸=仕事の量的負担、縦軸=仕事のコントロール
・下段の表の中にある、尺度名とその平均点が、青●として、プロットされています。
・右斜め下になるほど(=オレンジ色が濃くなっているエリアになるほど)、健康リスクが悪化している傾向を示しています。

(2)中断のグラフ ⇒緩衝要因における健康リスク
・横軸=上司の支援、縦軸=同僚からの支援
・下段の表の中にある、尺度名とその平均点が、青●として、プロットされています。
・左斜め下になるほど(=オレンジ色が濃くなっているエリアになるほど)、健康リスクが悪化している傾向を示しています。

(3)下段の表 ⇒職業性ストレス簡易調査票から集計された元データ
・職場ごとに集計できます。
・左下の青の点線の中は平均点が記されており、上段と下段のグラフにプロットされる値が記されています。
・右下の緑色の点線の中は、計算された健康リスクが示されまています。

1-4-2 コメントから「仕事のストレス判定図」の見方を覚える

(1)緑色の個所のコメント
⇒『仕事のストレス判定図』の具体的な実施手順です。
・先の『仕事のストレス判定図を使用するための質問票』を用いて、実際に、集団ごとの集計・分析を行うための6つの手順が紹介されています。

(2)黄色の箇所のコメント
⇒『仕事のストレス判定図』を実施した後の評価です。
・例題で実施した職場のストレスと、その健康リスクに関するコメントが紹介されています。

1-4-3 「仕事のストレス判定図」を分析する上でのポイント

(1)仕事に高いストレスを感じる場合
⇒「仕事の量」が多い=それだけ要求度・責任が高くなるので高ストレス
⇒「仕事のコントロール」が低い=それだけ自由・裁量度が低くなるので高ストレス

(2)人間関係とストレス
⇒職場の人間関係では、上司と同僚からいかに気軽に支援を得られるか、その支援の程度が、ストレスを感じる程度と関係します。
⇒つまり、気軽に支援を得られる人がいるほど、ストレスが和らぎやすくなります。

(3)対策が必須となる健康リスク値
⇒仕事のストレス判定図に示された「健康リスク」をどのようにとらえるか?
⇒対策が必要な一つの目安は、「健康リスク」が120以上と言われています。そのような値を示す職場では、いろいろな問題がすでに顕在化している場合が多いからです。

➡ 1-5 仕事のストレス判定図を活用する際のポイント・注意点

1-5-1 「産業保健スタッフ」×「職場」の連携を深めましょう!

改善を行うためのステップ イメージ図 仕事のストレス判定図だけでは、職場環境の情報は限られているからです。
具体的には、職場環境を4つの側面でしか把握できていません。
A-ⅰ:仕事の量的負担
A-ⅱ:仕事のコントロール
A-ⅲ:上司からの支援
A-ⅳ:同僚からの支援

しかし、実際には、職場には数多くの仕事ストレスは存在しています。
そのため、仕事のストレス判定図を分析・評価する上では、それ以外のストレス要因も含めて、より総合的に検討することが望まれます。
「仕事のストレス判定図」をきっかけに、産業保健の視点と、実際の職場との連携を深めて、より広く・深く職場環境の実態を把握しましょう。
 その際には、個人情報の取り扱には十分気をつけましょう。

1-5-2 データは、すべてを表しているわけではありません。

データ理解 注意点 マーク仕事のストレス判定図の元になっているのは、職業性ストレス簡易調査票という個人アンケートです。その個人アンケートは自分で記述するので、実施する時期・場所や、その時の状態によって、その結果は、異なることはあり得ます。

例えば「仕事の量的負荷」、あるいは「上司からの支援」などは、もしかしたら実際よりも少なく回答されている可能性もあります。
あるいは、結果の数値が100より下だからと言って、まったくストレスがないわけでもありません。

そのため、データだけの数字にとらわれず、実際の現場社員や上司からの意見も聴きとって、職場の実態を把握しましょう。

1-5-3 結果を事業者に提供する際の注意点

ストレスチェック制度が社内に根づくかどうかは、集団ごとの集計・分析をどのように共有するかにかかっています。例えば、集団ごとの分析結果から、「高ストレス職場」対策として、その該当職場だけを対象に、改善を求めることを促しても望ましい成果は生まれづらく、単発で終わってしまう可能性があります。
と言いますのも、高ストレス=良くない!だけでは、言わば「悪者捜し」という風潮になってしまうからです。

これでは、前向きな活動としては続きづらいです。実際に、高ストレス対策を強いられた職場では、その活動をするのがめんどくさいということで、次回のアンケートからは、きちんとつけなくなったということもあり得ます。
もちろん、職場環境が良くないことで社員のストレスが高まっている職場は、適切に対応しなければいけませんが、目的ややり方を工夫する必要があります。

なぜなら、このストレスチェック制度は、従業員の理解と協力がないと、適切に機能しないからです。
それは、このストレスチェック制度は会社で取り組むことは義務ですが、しかし法律上ではそもそもストレスチェックを行うかどうかは、強制させるものでなく、個人の裁量に任されているからです。
つまり、ストレスチェックの受検率が低いと、職場環境の集計や分析の信頼性や妥当性がなくなり、集団の分析や職場環境の改善につなぎづらくなってしまいます。そのため、ストレスチェック制度を真に職場に根づかせるためには、課題を前向きに改善していくための工夫が必要です。

 

2. 職場環境の改善

実施者は、集団ごとの集計・分析の結果を事業者に知らせ、事業者は職場環境の改善のための取り組みを行うことが期待されています。

➡ 2-1 取り組みの意義を理解する

2-1-1 職場環境の改善とは?

職場環境の改善 喜び心の健康の調子が悪くなるのを前もって防ぎ、職場でお互いにいきいきと働くことができるような環境をみんなでつくっていくことです。なぜなら、いくら個人が健康で仕事へのやる気にあふれていても、職場環境が安全・安心して働くことができない状況ならば、いい仕事ができないばかりか、その職場で元気に働くことができず、心身の調子を崩しかねません。
そのような劣悪な職場環境では、生産性や効率性のいい仕事はできませんよね。

そのため、安全・安心・健康的に働くことができるような職場環境を整えていくことが、組織の継続的な発展に不可欠なのは、誰もが知っていること。しかし、果たして現実の職場環境はいかがでしょうか。目に見えるもの、見えないものに関わらず、職場にはいろいろな問題やストレスとなる状況があります。なくなることはありません。
しかしながら、そのまま放置していたり、見ないふりをしてもその環境は、改善しないどころか、事態を悪くしてしまいかねません。

今後、ますます外部環境の変化が早く、複雑で、予測しづらくなっていく中を、強く明るくしなやかに乗り切っていくには、組織の合理化や結束が必要です。そのためには、職場という環境が誰にとっても安心・安全・元気に働くことができる環境づくりが必要です。

2-1-2 職場環境におけるストレス理論と対策のポイント

具体的に職場環境の改善を進めるにあたってポイントとなる、取り組みの理論と、対策を確認しておきましょう。

(1)仕事のストレス対策に関して代表的な理論
⇒「仕事の要求度―コントロールモデル」
仕事のストレス判定図は、多くの研究から健康と関係ある職場ストレスを評価します。職場ストレスとは、仕事の要求度、仕事のコントロール度、上司の支援、同僚の支援の4つで評価します。仕事の要求度が高く、仕事のコントロール感が低いと仕事がうまくさばけず、ストレスになります。また、職場の支援が低いとさらにストレスがクッションにならず、ストレスがさらにかかります。このようなストレスのある職場では、心身の不調や健康問題が生じるリスクが高まります。そのため、両者のバランスが大事で、特に仕事の要求度に見合うように仕事のコントロールを与えることが重要です。

仕事の要求度ーコントロールモデル

(2)職場環境等の改善を通じたストレス対策のポイント
□ 過大あるいは過小な仕事量を避け、仕事量に合わせた作業ペースの調整ができること
□ 労働者の社会生活に合わせて勤務形態の配慮がなされていること
□ 仕事の役割や責任が明確であること
□ 仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確であること
□ 職場でよい人間関係が保たれていること
□ 仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようにデザインされること
□ 職場での意志決定への参加の機会があること

(アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)より)

2-1-3 職場環境の改善に“新たな視点”

これからの職場の心の健康づくりには、下図に示されているように、2つのプロセスからの取り組みが重要であると言われています。
つまり、上記2-1-3でご紹介しました「仕事の要求度ーストレスモデル」の従来型に、「仕事の要求度―資源モデル」という新たなモデルが加わったものです。

(1)「健康障害プロセス」
これは従来型の職場の心の健康づくり活動を示しています。それは、健康障害を防ぐことを目的としており、いわゆるマイナスへの取り組みと言えます。具体的には、ストレスの元である仕事の要求度を下げることで、心理的なストレス反応を抑えて不調になることを防ごうとしているからです。

(2)「動機づけプロセス」
これが新たな職場の心の健康づくり活動に必要な視点です。なぜなら、こちらは、人と仕事の資源に着目してそのゴールを人と組織を活性化させることを目的にしているからです。具体的には、個人と仕事の資源を活かすことを考え、それによって従来型と同じように心理的なストレス反応を抑えることができます。加えて、資源を活かすことでワークエンゲイジメント(活力・熱意・没頭)力が高まり、望ましい成果を得ることにつながる、言わばプラスの取り組みと言えます。

そのため、職場の心の健康づくりの一環である職場環境の改善においても、これからはプラスの視点をもった取り組みも重要になってきます。

仕事の要求度ー資源モデル 図

➡ 2-2 取り組み方は、3通り

ストレスチェック制度に基づく職場環境の改善は、職場のメンタルヘルス活動の一環に位置付けて、取り組みましょう。そのために、事業場ごとで、それをどのように進めるのかを定めておくことが必要です。やり方は3通りあります。

2-2-1 事業者や(安全)衛生委員会が行う職場環境改善

(1)主体=事業者、あるいは(安全)衛生委員会
(2)内容=職場環境の評価、対策の立案・実施
(3)目的=組織体制・制度の見直し、関連部署に対策の指示
(4)支援=産業保健スタッフ等は、助言・支援を行う

2-2-2 管理監督者が行う職場環境改善

(1)主体=管理監督者
(2)内容=担当職場の評価、自主的に対策の立案・実施
(3)目的=担当部署の職場環境の改善
(4)支援=産業保健スタッフ等は、管理監督者への面談、集団分析結果の読み方、評価の仕方、計画立案を支援

2-2-3 従業員参加型の職場環境改善

(1)主体=管理監督者と所属員
(2)内容=自職場の評価、改善のための計画の検討、ワークショップの実施
(3)目的=自職場の環境の改善を従業員の意見を反映させた取り組みにする
(4)支援=産業保健スタッフ等は、ワークショップの企画・実施の支援、ファシリテーター役で、有効な提案がなされるよう務めます。

➡ 2-3 取り組む手順は、5段階で

5段階で取り組む イメージ図職場環境の改善を効果的に進める手順を、5段階に沿ってご説明します。

2-3-1 職場環境の改善ための体制づくり

体制・進め方については、事業者、産業保健スタッフ等、管理監督者および労働者代表が参加する委員会または作業部会を設置し、これを中心に事業場の職場環境の評価と改善の立案をしてゆく方法が推奨されています。

目的・方針については、「問題指摘型」ではなく、「問題解決型」の取り組みであることを明確にすることが重要です。

★ポイント
部署ごとの職場環境の改善は、管理監督者に対して方針や進め方を十分に説明し、管理監督者の主体的な関与を引き出すことが重要です。

2-3-2 職場環境の評価

ストレスチェックの調査票として職業性ストレス簡易調査票あるいは厚生労働省の実施マニュアルに示されている簡略化した調査票を用います。
そして、仕事のストレス判定図を使用して、部署やグループ別の仕事のストレス要因等をデータ化して集団分析をして、職場環境を評価しましょう。

★ポイント
データにだけ頼り過ぎず、日頃から現場に出向いて実際の状況を見たり、聴き取りをしたりして総合的に職場環境のストレス状況を把握するようにしましょう。

2-3-3 職場環境等の改善計画の立案

ストレスチェックの集団分析を参考にした職場環境等の評価結果に基づいて、事業者や(安全)衛生委員会、あるいは各部署の管理監督者が仕事のストレスを改善するための職場環境等の改善を計画します。産業保健スタッフ等はこれを支援します。事業場外の専門家の支援を受ける方法もあります。

加えて、以下のことを取り入れるほど効果的になると推奨されています。
・事前に事業場内外の良好事例を収集し、計画を立てる際の参考にしましょう
・改善策の検討や実施に労働者が積極的に参加しやすい工夫をしましょう。
・改善策は、作業量や人間関係だけでなく、幅広く職場環境を捉えて検討しましょう。

★ポイント
実効性のある改善計画を立てるために、職場の状況、時期、資源も考慮して計画を立案します。
改善計画の検討を支援するツールを活用することも有効です。別途ご紹介します。

2-3-4 対策の実施

計画が立案されたら、これを実施します。

継続的に改善が進むように、(安全)衛生委員会や職場の定期的な会合などを活用して、計画が予定どおりに実行されているか、実施上の問題はおきていないかなどの進捗状況を、定期的に確認します。

★ポイント
各部署から(安全)衛生委員会に中間報告の提出を求めたり、3ヶ月、6ヶ月など期間を設定して実施状況や効果を報告してもらうことも効果的です。

2-3-5 効果評価と計画の見直し

一定期間後に対策の効果を評価し、計画の見直しを検討することを、計画の段階(ステップ1または3)で決めておきます。

評価の方法には2種類(プロセス評価と、アウトカム評価)ありますので、計画通りに達成できたか?あるいは、目的を達成できたか?を見直し、再検討しましょう。

★ポイント
このように職場環境改善の取り組みを、職場環境の評価と計画立案(Plan)、実施 (Do)、評価 (Check)および見直し(Act)のサイクルに組み込み、継続的に実施できるようにしましょう。

➡ 2-4 取り組みを効果的にするためのツール

取り組みの成功 イメージ図(1)「職場環境改善のためのヒント集」
職場環境の改善を具体的に行うにあたっては、その見本となるべく「職場環境改善のためのヒント集」があります。これは、すでに職場環境の改善活動を行った組織において、その取り組みで役立ったとされている良好事例をもとに、開発された事例集です。そのため、この「職場環境の改善のためのヒント集」を使って、職場環境の改善活動をしていきましょう。次節以降で詳しくご紹介しきいきます。

(2)「メンタルヘルス改善意識調査票」(MIRROR)
『ストレスチェック制度実施マニュアル』(厚生労働省、P91)に記載されている内容を転載しますので、詳しくはそちらをご覧ください。

「メンタルヘルス改善意識調査票」(MIRROR)は、労働者の意見調査により職場環境改善の目標と計画を策定することを支援するための質問票です。
MIRROR には、職場の望ましい状態が45項目列記されています。

労働者に、それぞれの項目を改善目標とする必要性を、「1.実現されており改善は不要」、「2.できれば改善が必要」、「3.ぜひ改善が必要」、あるいは「4.この職場とは関係がない」の 4つの選択肢から選んでもらいます。
その結果から計算される要望率(「2.できれば改善が必要」、「3.ぜひ改善が 必要」の回答の合計割合)および実現率(「1.実現しており改善は不要」)の回答の割合)により、項目の優先ランキング一覧を作成し、これを参考に労働者の職場環境改善のニーズを確認します。

要望率と実現率の上位10項目をもとにして、各職場で討議しながら職場環境等の改善の計画を検討します。
MIRRORは職場環境等の改善のプロセス評価にも使用できます。
対策の前後で、MIRROR による調査を実施し、改善活動実施前から実施後への変化を確認することができます。
例えば、MIRRORの再調査で、各項目の改善要望率(“改善の必要あり”と回答した者の割合)が減少したり、実現率(“実現し ており改善不要”と回答した者の割合)が増加しているなら、改善の効果があったと考えられます。
*なお、(1)職場環境の改善ためのヒント集や、(2)MIRRORは、
ストレスチェックの調査票として使用するものではなく、ストレスチェックの集団分析をもとに職場環境改善を行う際のツールです。

2-4-1 「職場環境改善のためのヒント集」を理解しよう

(1)特徴
「職場環境改善のためのヒント集」(「メンタルヘルスアクションチェックリスト」)は、職場環境改善の好事例を厳選して6領域、30項目のヒントにまとめたものです。
そのため、これらすでに役立っているヒント集を参考に、現場で、すでにある資源を活用しながら、低コストで改善できる優先対策が検討できます。

(2)メリット
★ すでに好事例のリストなので、そのまま職場に当てはめられ、必要とする点がみつかりやすいです。
★ グループで討議ができるので、職場環境の改善への気づきが広がります。
★ 職場をさまざまな角度から見られ、職場環境への関心が高まります。
★ 改善策も記載されているので、改善の考え方が理解でき、優先順位をつけやすく、すぐ実行できる。
★ 規模が小さい単位でも、また専門家がいなくても実施できます。
★ 個別のアプローチの効果は一時的ですが、職場環境改善の効果の方が高いという研究結果が世界的にも報告されています。

(3)現場で実行しやすい6つの改善ポイント
すでに多くの職場で実践され、職場のストレス軽減に役立ってきた具体的な事例をもとに、以下6つ(A~F)の領域=改善ポイントと、そのためのアクションが各項目5つあげられており、合計30項目のアクションが示されています。
加えて、仕事のストレス判定図との対応も参考してあるため、4つのストレス反応(「仕事の量的負担」、「仕事のコントロール」、「上司の支援」、「同僚の支援」)に必要なアクション項目がわかるようになっています。

6つの領域と5項目          合計30項目

≪A≫部下の作業計画への参加と情報の共有 ×5項目
≪B≫勤務時間と作業編成         ×5項目
≪C≫円滑な作業手順           ×5項目
≪D≫作業場環境             ×5項目
≪E≫職場内の総合支援          ×5項目
≪F≫安心できる職場の仕組み       ×5項目

(4)職場環境改善のためのヒント集の項目一覧表

では、以下に転載しますので、ご覧ください。

※「職場環境改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)」は、
職場環境等のストレスを評価したあとの職場環境等の対策を考えるのに参考となる項目をまとめたものです.
原案:平成16年度厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業
「職場環境等の改善等によるメンタルヘルス対策に関する研究」
職場環境改善のためのヒント集(アクションチェックリスト)作成ワーキンググループ

「仕事のストレス判定図」との対応
領域 アクション項目 仕事の量的負担 仕事のコントロール 上司の支援 同僚の支援
作業計画の参加と情報の共有 1.作業の日程作成に参加する手順を定める

作業の分担や日程についての計画作成に,作業者と管理監督者が参加する機会を設ける.

2.少数人数単位の裁量範囲を増やす

具体的なすすめ方や作業順序について,少数単位又は作業担当者ごとに決定できる範囲を増やしたり再調整する.

3.個人あたりの過大な作業量があれば見直す

特定のチーム,又は特定の個人あたりの作業量が過大になる場合があるかどうかを点検して,必要な改善を行う.

4.各自の分担作業を達成感あるものにする

分担範囲の拡大や多能化などにより,単調な作業ではなく,個人の技量を生かした達成感が得られる作業にする.

5.必要な情報が全員に正しく伝わるようにする

朝の短時間のミーティングなどの情報交換の場を設け,作業目標や手順が各人に伝わり,チーム作業が円滑に行われるように,必要な情報が職場の全員に正しく伝わり,共有できるようにする.

勤務時間と作業編成 6.労働時間の目標値を定め残業の恒常化をなくす

1日,1週,1ヵ月後との労働時間に目標値を設け,ノー残業デーなどを運用することなどで,長時間労働が当たり前である状態を避ける.

7.繁盛期やピーク時の作業方法を改善する

繁盛記やピーク時などの特定時期に個人やチームに作業が集中せず作業の負荷や配分を公平に扱えるように,人員の見直しや業務量の調整を行なう.

8.休日・休暇が十分取れるようにする

定められた休日日数がきちんと取れ,年次有給休暇や,リフレッシュ休暇などが計画的に,また必要に応じて取れるようにする.

9.勤務体制,交代制を改善する

勤務体制を見直し,十分な休養時間が確保でき,深夜・早朝勤務や不規則勤務による過重負担を避けるようにする.

10.個人の生活条件に合わせて勤務調整ができるようにする

個人の生活条件やニーズに応じて,チーム編成や勤務条件などが柔軟に調整できるようにする.  (例:教育研修,学校,介護,育児)

円滑な作業手順 11.物品と資材の取り扱い方法を改善する

物品と資材,書類などの保管・運搬方法を工夫して負担を軽減する.  (例:取り出しやすい保管場所,台車の利用,不要物の除去や整理整頓など)

12.個人ごとの作業場所を仕事しやすくする

各自の作業場のレイアウト,姿勢,操作方法を改善して仕事しやすくする.  (例:作業台の配置,肘の高さでの作業,パソコン操作方法の改善など)

13.作業の指示や表示内容をわかりやすくする

作業のための指示内容や情報が作業中いつでも容易に入手し確認できるようにする. (例:見やすい指示書,表示・ラベルの色分け,標識の活用など)

14.反復・過密・単調作業を改善する

心身に大きな負担となる反復作業や過密作業,単調作業がないかを点検して,適正な負担となるよう改善する.

15.作業ミス防止策を多面に講じる

作業者が安心して作業できるように,作業ミスや事故を防ぎ,もし起こしても重大な結果に至らないように対策を講じる.

(例:作業手順の標準化,マニュアルの作成,チェック方法の見直し,安全装置,警報など)

作業場環境 16.温熱環境や音環境,視環境を快適化する

冷暖房設備などの空調環境,照明などの視環境を整え,うるさい音環境などを,個々の作業者にとって快適なものにする.

17.有害環境源を隔離する

健康を障害するおそれのある,粉じん,化学物質など,人体への有害環境源を隔離するか,適切な防護対策を講じる.

18.職場の受動喫煙を防止する

職場における受動喫煙による健康障害やストレスを防止するため,話し合いに基づいて職場の受動喫煙防止対策をすすめる.

19.衛生設備と休養設備を改善する

快適で衛生的なトイレ,更衣室を確保し,ゆっくりとくつろげる休憩場所,飲料設備,食事場所や福利厚生施設を備える.

20.緊急時対応の手順を改善する

災害発生時や火災などの緊急時に適切に対応できるように,設備の改善,通路の確保,全員による対応策と分担手順をあらかじめ定め,必要な訓練を行なうなど,日頃から準備を整えておく.

職場内の相互支援 21.上司に相談しやすい環境を整備する

従業員が必要な時に上司や責任者に問題点を報告し,また相談しやすいように普段から職場環境を整えておくようにする.

(例:上司に相談する機会を確保する,サブリーダーの設置,相談しやすいよう職場のレイアウトを工夫するなど)

22.同僚に相談でき,コミュニケーションがとりやすい環境を整備する

同僚間でさまざまな問題点を報告しあい,また相談しあえるようにする.  (例:作業グループ単位で定期的な会合を持つ,日報やメーリングリストを活用するなど)

23.チームワークづくりをすすめる

グループ同士でお互いを理解し支えあい相互に助け合う雰囲気が生まれるように,メンバーで懇親の場を設けたり研修の機会を持つなどの工夫をする.

24.仕事に対する適切な評価を受け取ることができる

作業者が自分の仕事のできや能力についての評価を,実績に基づいて,納得できる形で,タイミングよく受け取ることができるようにする.

25.職場間の相互支援を推進する

職場や作業グループ間で,それぞれの作業がしやすくなるように情報を交換したり,連絡調整を行なったりするなど,相互支援を推進する.

安心できる

職場のしくみ

26.個人の健康や職場内の健康問題について相談できる窓口を設置する

心の健康や悩み,ストレス,あるいは職場内の人間関係などについて,気兼ねなく相談できる窓口または体制を確保する.  (例:社内のメンタルヘルス相談窓口の設置)

27.セルフケアについて学ぶ機会を設ける

セルフケア(自己健康管理)に役立つ情報を提供し,研修を実施する.  (例:ストレスへの気づき,保健指導,ストレスへの上手な対処法など)

28.組織や仕事の急激な変化にあらかじめ対処する

組織や作業編成の変更など職場の将来計画や見通しについて,普段から周知されているようにする.

29.昇進・昇格,資格取得の機会を明確にし,チャンスを公平に確保する

昇進・昇格のモデル例や,キャリア開発のための資格取得機会の有無や時期が明確にされ,また従業員に公平にチャンスが与えられることが従業員に伝えられているようにする.

30.緊急の心のケア

突発的な事故が生じた時に,緊急処置や緊急の心のケアが受けられるように,あらかじめ職場内の責任者や産業保健スタッフ,あるいは社外の専門家との連絡体制や手順を整えておく.

 一息 ブレイクタイム

2-4-2 「職場環境改善のためのヒント集」を使った職場環境の改善の手順

「職場環境改善のためのヒント集」は、その取り組みがプログラム化されています。
以下、その内容を『メンタルヘルス対策に重点をおいた職場環境等の改善マニュアル(2005年3月P5~6)』よりポイントを
転載しますので、ご参考にしてください。

職場環境の改善のためのステップ 図

①対策への合意形成
キーパーソンとなる職場の管理監督者へのストレス調査結果などのフィードバックや、内外の指針や先進企業・職場の取り組みの紹介を通して、職場環境改善を進めることがストレス対策としてとても重要であることを、幹部に伝えます。
ラインケアを担う管理監督者研修などでも強調し、職場環境改善への準備と合意形成を進め、気運を高めます。
職場のトップにも理解を得、安全衛生方針として取り上げたり、メンタルヘルス対策の社内方針として取り上げたりするなど、ストレス対策として職場環境等の改善を進めること柄への合意形成をすすめます。

②参加と周知
職場環境改善を効果的に進めるための職場の情報や題材を収集し、準備します。
まず、職場でストレス対策として取り組まれた事例をリストアップし、上司や労働者からもすでに取り組んでいる対策などを収集します。直接ストレス対策を目的としていなくても、快適な職場つくりに役立った職場環境改善、たとえば受動喫煙防止や長時間残業対策、最近行なわれたレイアウト変更など、すでに職場で取り組むことができた改善に注目します。

改善された職場の写真などがあるとなお良いでしょう。また、ストレスの原因について上司や労働者に意見を聞き、ストレスの原因となる要因について職場内の情報を収集します。
勤務時間内に業務の一環として職場環境改善の話し合いがもたれるよう準備し、労働者へ参加の呼びかけ(通知)します。

➂改善の討議と立案
職場環境等の改善のためのヒント集を使った複数によるグループ討議とその結果発表をする場を設けます。
ここでは、ストレス調査結果や事業場内の良好事例を参考にしながら、ストレス低減のために役立っている良い事例と改善点について討議します。討議結果は文書記録し、今後の対策実施計画への参考資料や、リスクアセスメント実施結果として保存しておきます。

④対策の実施と評価
討議された結果(職場改善のアイデア)を、職場の管理監督者や安全衛生担当者が部署ごとに取りまとめ、具体的な実施の手順をきめます。改善の実施のフォローアップ計画を立て、関係者が共同でフォローアップします。
四半期や一年ごとに職場環境改善の実施状況を評価し、ストレス調査を再度実施するなど、次年度への計画へとつなげます。

2-4-3 「職場環境改善のためのヒント集」の具体的な使い方

ヒント集 具体的な使い方 わかるイメージ図以下に、『職場環境の改善マニュアル(2005年3月)』から、「職場環境改善のためのヒント集」の使い方が示されていますので、転載します。使い方をイメージをしてみてください。

■ヒント集の記入方法
職場環境改善のためのヒント集では、項目ごとにそのアクションをこの職場で提案するかどうか、3つのstepで進めます。
では、例として「職場環境改善のためのヒント集」にあるA-1の項目を使って、この選択肢の使い方について説明します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
例としての項目: A-1
【作業の日程策定に参加する手順を定めます】
作業の分担や日程についての計画作成に労働者と管理監督者が参加する機会を設けます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

step1 「提案する」か「提案しない」かを選ぶ
すでにこの項目に関する対策を実施していて十分できているとか、あるいはこの対策が職場にあてはまらない場合には「提案しない」を選択します。 この対策を職場でこれから実施した方がいいと考えた場合には「提案する」を選びます。
実際には、30項目を1項目づつ検討していきます。

このような対策を
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□ 提案しない
☑ 提案する     → □ 優先する
メモ【                】                  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

step2 メモ欄を活用する
すでにこの対策を実施しているために「提案しない」を選んだ場合には、メモ欄に具体的な実施内容を記入しておきます。
「提案する」を選んだ場合には、具体的には職場で何をどう実施するのがいいか、アイデアをメモ欄に記入します。
こうした具体的なメモは、最終的な改善提案をまとめる時にとても役立ちます。

このような対策を
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□ 提案しない
☑ 提案する     → □ 優先する
メモ【1週間に1回は短時間でも顔を合わせてのミーティングを持つ】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

step3 優先するかどうか決める
「提案する」を選んだアクションを他のアクションと比較して優先順位が高いかどうか考え、優先順位が高ければ「優先する」欄にチェックしておきます。
重要度が高いもの、あるいは実行可能性の高いものを優先するとよいでしょう。これはグループ討議の最後に改善提案を3つにしぼりこむ時に役立ちます。

このような対策を
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□ 提案しない
☑ 提案する     → ☑ 優先する
メモ 【1週間に1回は短時間でも顔を合わせてのミーティングを持つ】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最初は、以上の3stepで「職場環境改善のためのヒント集」にある合計30項目(=6領域×5項目)の内容について、検討していくことをおススメします。やっていくうちに、職場環境改善の視点が広がり、この30項目以外の取り組むべき内容や優先順位も明らかになってきます。

➡ 2-5 取り組みの実際 ~従業員参加型の研修~

従業員参加型研修 作業イメージ職場環境の改善の手法の一つである“従業員参加型の研修”の取り組みをご紹介します。
職場環境を改善するために効果的にするには、従業員が主体的に参加できるような取り組みにすることです。そのために、「グループワーク」という手法を取ります。なぜなら、研修の目的は、知識の習得ということよりも、職場環境を具体的に改善していくためのプランをつくるからです。

「グループワーク」のメリットには、以下があげられます。
★参加者同士で日頃の情報を交換するので、新たなつながりが広がり、深まります。
★現実的な課題を出し合うので、そこからヒントを得たりするので改善の方向につながります。
★職場環境のことを自分ごととして受け止めるので、行動につながりやすくなります。

2-5-1 研修の企画

(1)研修の趣旨を明確にしましょう
⇒今後は、個人への対応だけでなく、職場全体として取り組む必要性やその効果

(2)グループワークの目的を明確に伝えましょう
⇒目的はみんなで職場環境を継続的に改善する策を考えることであり、個別の能力アップではありません

(3)研修の到達目標を理解してもらいましょう
⇒受け身ではなく、積極的・協調的な取り組みであるということ

2-5-2 研修の準備

(1)当日に必要な備品を準備しましょう
⇒調査票の結果、ヒント集、職場環境改善の手引き、記入資料、プロジェクター、飲み物等

(2)視覚教材も準備しましょう
⇒話だけでは忘れられがちになるため、教材、資料、写真、ビデオなど用意しましょう

(3)研修会場の準備をしましょう
⇒講義型ではなく、グループ単位でまとまれ、話しやすいテーブルやいすの配置をしましょう。

(4)研修全体のタイムスケジュール
時間(2時間30分)

step 時間 内容 役割
1.講義 5 開講の挨拶 部長
15 仕事のストレスと健康

ストレス調査結果の見方

トレーナー
20 職場環境改善ヒント集とその使い方 トレーナー
2.グループ討議 50 グループ討議

・事前説明

・あなたの職場の良い点3つ

・あなたの職場で取り上げたい改善点3つ

グループ6班に分類
3.発表 40 グループ発表 良い事例に学ぶ
4.まとめ 20 全体討議とまとめ 健康的な職場づくりを目指して

*上記step1~4をさらに詳しく解説しますと、以下になります。

2-5-3 研修の各stepの中身

step1 講義の中身(40分)

step1 時間 内容 配布資料等
5 開講の挨拶 研修プログラム

15 仕事のストレスと健康

ストレス調査結果の見方

解説資料
20 職場環境改善ヒント集とその使い方 ヒント集

★進め方のポイント
① 自社の状況を踏まえ、研修の開催理由を伝え、動機づけを強める。
② 仕事のストレスが健康に与える影響や、ストレスとの付きあい方のポイントを説明。
➂ 仕事のストレス理論を踏まえ、調査結果のポイントをフィードバックする。
④ この後のグループ討議での話し合いが進むように、ヒント集のポイントを説明。

step2 グループ討議の中身(50分)

Step2 時間 内容 備品等
10 事前説明
自己紹介・司会・書記・発表者を決める
10 調査結果から考えられる良い点、改善点 仕事のストレス判定図等
15 ヒント集を確認 アクションチェックリスト
職場の良い点3つ
15

 

職場の改善すべき点3つとその理由
具体的な改善提案の作成
5 グループ発表の準備

★進め方の中身のポイント
① トレーナーから参加者に対してグループ討議の目的・進め方等を説明します。なるべくスムーズに討議にはいれるように、討議のゴールをしっかりと伝え、ただの雑談で終わらせないように気をつけます。
そのために、例えば、グループごとに紙を用意して、話し合いのテーマと、その内容を書かせることで、愚痴になることを防ぐことができます。
② 参加者に役割を決めてもらい、討議を自主的に運営してもらいましょう。
➂ トレーナーから調査結果を説明し、質疑を受けます。
④ ヒント集を見ながら職場のふり返りのポイントを見つけます。
⑤ 職場の良い点、すでに改善した例などを積極的に取り上げると、議論が活発になります。
⑥ これから取り上げたい改善点を取り上げ、優先順位をつけます。
⑦ グループとして、3つに絞り込み、具体化します。
⑧ ヒント集では6つの領域に分かれているので、それに沿って発表すると全体で共有しやすくなります。

step3 グループ発表の中身(40分)

Step3 時間 内容 備品等
8 1グループ5分で発表+3分質疑 発表用紙
×5 5グループの場合

★進め方のポイント
① 発表内容は、話し合いの概要、良い改善事例3つ、改善提案3つ
② 研修全体で全員が1回は発表するような役割をもたせると、参加意識が高まります。

step4 全体討議の中身(20分)

Step 時間 内容 備品等
20 全体討議
まとめ

★進め方のポイント
① 管理監督者や、トレーナー等の産業保健スタッフは、グループからの発表にコメントします。特に管理監督者は、改善提案を具体的な計画と実施に移すよう促す。
② 部長が感想を述べて、別途、改善計画を立てて、実行に移すために、文書化するよう指示します。実行責任者は、管理監督者や、人事労務、あるいはグループ担当者が想定されますので、実情に合わせて決めましょう。

2-5-4 活用事例

『職場環境等の改善マニュアル』では、以下の4つの事例について、詳しくその取り組みを紹介しています。本サイトでは、その『職場環境等の改善マニュアル』に示されている概要のみを取り上げておきます。詳しくは『職場環境等の改善マニュアル』をご覧ください。

ヒント集を活用した職場環境改善の検討事例
本マニュアルの巻末に、職場環境改善のためのヒント集を用いた改善事例を4つ紹介しています。それぞれ業種も異なり、またグループ討議の方法にも工夫がなされているので、ヒント集を活用した職場環境等の改善を事業場内で企画する際の参考になるでしょう。

事例1の建機メーカーの開発部での職場環境等の改善では、
管理監督者を含む職場の全従業員によりヒント集を使ったグループ討議を行い、職場環境等の改善方針を決定し実行しています。

事例2の研究開発職場の事例では、
ストレス対策のための職場環境の改善について、産業保健スタッフが管理監督者と話し合う場面でヒント集を活用している事例です。

事例3の自治体での取り組み例は、
複数の職場の衛生委員会のメンバーにヒント集の使い方について研修を行い、各職場に持ち帰っての改善活動を支援した例です。

事例4の化学工場での取り組み例は、
職場の管理監督者と数人の作業担当従業員を選んでグループ討議を行い、職場環境等の改善計画をたてた例です。
外部の専門家に助言を得ながら実施しています。

注)いずれの事例もまだ改善の実施中で、最終的にストレスを減らすことができたかどうかの確認まではできていませんが、具体的な職場環境等の改善が着実に進みつつあり、従業員からの良い反応も得られています。(2005年3月)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

2-5-5 まとめ

現在、職場の心の健康づくりにおいて職場環境の改善活動は、効果のある取り組みとして位置づけられています。そのため、今回のストレスチェック制度の法制化に伴って厚生労働省としては、努力義務としながらもその取り組みを行うことを各事業者に勧めているところです。

その職場環境の改善を行うためのツールとして、「職場環境改善のためのヒント集」(メンタルヘルスアクションチェックリスト)が開発されました。今では、このヒント集を使って職場環境の改善を行うことで、より高い効果が期待できるとされています。
なぜなら、①多面的に改善を図ることができる、②すぐ実施可能な改善に焦点絞り込める、➂グループ討議で進めることにメリットがあるといった理由があるからです。

今後は、ストレスチェック制度が各事業所で根づく取り組みになるためには、個人向けの対応に加え、この職場環境の改善の取り組みも合わせて行われることがますます期待されるものと予測されます。

ストレスチェックの教科書ストレスチェック教科書

実務経験豊富なストレスチェックコンサルタントによる
無料相談実施中!
(2017年5月29日まで)

もし、貴事業所で、ストレスチェック制度について

 ● 現在、今年の取り組みを行っている最中で、もっとスムーズに導入したい
 ● 今年はすでに実施したけど、これからさらに充実させたい
 ● 関係スタッフや、外部機関ともっと、連携を深めて進めていきたい

とお考えなら、ぜひ無料相談をご活用ください。

貴社にとって一番必要なやり方が見つかり、
さらにストレスチェック制度が充実するよう、お答えします。

 - 導入マニュアル3.【実施する】