2.準備する④ ストレスチェック制度「実施規程の作り方」
2016/10/13
ストレスチェック制度は法律で義務づけられた取り組みです。だから、自社の中で運用していくためには、その「実施規程」を作ることが必要です。そのためには、就業規則を改定し、その詳細を記した「実施規程」を作りましょう。その「実施規程」の作り方については、厚生労働省から『*ストレスチェック制度実施規程(例)』が示されておりますので、それをもとにご紹介していきます。その際、前節でご紹介をしました『準備する3|衛生委員会で調査審議するべき、11項目』を検討されていると、「実施規程」づくりは、スムーズに進みます。
『*ストレスチェック制度実施規程(例)』
(注)この規程(例)は、事業場がストレスチェック制度に関する社内規程を作成する際 に参考としていただくために、あくまでも一例としてお示しするものです。それぞれの事業場で本規程(例)を参考に、実際に規程を作成する際には、社内でよく検討し、必要に応じて加除修正するなどし、事業場の実態に合った規程を作成していただくようお願いします。(厚生労働省コメント)
目次
- 第1章 総則
- 第2章 実施体制
- 第3章 ストレスチェック制度の実施方法
- 第3章-第1節-ストレスチェック【第8条~第16条】
- 第3章-第2節-医師による面接指導【第17条~第21条】
- 第3章-第3節-集団ごとの集計・分析【第22条~第24条】
- 第4章 記録の保存
- 第5章 ストレスチェック制度に関する情報管理
- 第7章:不利益な取り扱いの防止
第1章 総則
(例)実施規程の項目
➡ 第1章-第1条(規程の目的・変更手続き・周知)
(例)実施規程
第1条 この規程は、労働安全衛生法第66条の10の規定に基づくストレスチェック制度を株式会社*社名 において実施するに当たり、その実施方法等を定めるものである。
2 ストレスチェック制度の実施方法等については、この規程に定めるほか、労働安全衛生法その他の法令の定めによる。
3 会社がこの規程を変更する場合は、衛生委員会において調査審議を行い、その結果に基づいて変更を行う。
4 会社は規程の写しを社員に配布又は社内掲示板に掲載することにより、適用対象となる全ての社員に規程を周知する。
【ポイント↓】
*1項に、*社名を入れましょう。
*第1章(1~4項)については、規定の大枠を定めているものです。
これ以外に自社で特筆事項がなければ、そのままご使用されても差しさわりはないと思われます。
➡ 第1章-第2条(適用範囲)
(例)実施規程
第2条 この規程は、次に掲げる株式会社*社名 の全社員及び派遣社員に適用する。
1 期間の定めのない労働契約により雇用されている正社員
2 期間を定めて雇用されている契約社員
3 パ-ト・アルバイト社員
4 人材派遣会社から株式会社*社名 に派遣されている派遣社員
【ポイント↓】
*社名を入れましょう(2か所)
*適用範囲として上記の例では、4者が記載されていますが、自社の実態に応じて対象者をどこまで含めるか決めましょう。
*ちなみにストレスチェック制度の適用範囲として法的には、”常時使用する労働者”となっています。
言い換えますと、社会保険や一般健康診断の対象者と同じ、通常の社員のおよそ4分の3以上勤務している者です。
*もちろん、4分の3未満の短時間勤務の方にも実施の協力を求めることは可能です。
*4項の派遣社員の方は、派遣元に実施義務があります。
但し、集団分析を実施する場合は、集団の状況をより反映させるために派遣社員を含めることが勧められています。
その場合、派遣元のご担当者と話し合われてください。
★本サイトでは、【Ⅱ-➂.3-3-3 ストレスチェック制度の対象者】でとりあげています。
➡ 第1章-第3条(制度の趣旨等の周知)
(例)実施規程
第3条 会社は、社内掲示板に次の内容を掲示するほか、本規程を社員に配布又は社内掲示板に掲載することにより、ストレスチェック制度の趣旨等を社員に周知する。
1 ストレスチェック制度は、社員自身のストレスへの気付き及びその対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を目的としており、メンタルヘルス不調者の発見を一義的な目的とはしないものであること。
2 社員がストレスチェックを受ける義務まではないが、専門医療機関に通院中などの特別な事情がない限り、全ての社員が受けることが望ましいこと。
3 ストレスチェック制度では、ストレスチェックの結果は直接本人に通知され、本人の同意なく会社が結果を入手するようなことはないこと。したがって、ストレスチェックを受けるときは、正直に回答することが重要であること。
4 本人が面接指導を申し出た場合や、ストレスチェックの結果の会社への提供に同意した場合に、会社が入手した結果は、本人の健康管理の目的のために使用し、それ以外の目的に利用することはないこと。
【ポイント↓】
*ストレスチェック制度の趣旨をどのような手段を使って周知するのか、その具体的な方法を決めましょう。
*特に初年度なので、ストレスチェック制度への理解が広がり、深まるような内容や、周知方法が望まれます。
例(手段):掲示板への掲示、個別メ-ル、全社員向けのチラシ配布、施設内放送、説明会の実施等
例(媒体):実施規程+わかりやすいパンフレット(厚生労働省を使用、オリジナルを作成)
★本サイトでは、以下の箇所で取り上げています。
1 ⇒ストレスチェック制度の目的 【Ⅱ-➂.1-1】
2 ⇒受検について従業員が選択できること 【Ⅱ-➂.10】
3 ⇒個人情報が適切に保護されていること 【Ⅱ-➂.7-7】
4 ⇒結果を共有することへの同意 【Ⅱ-➂.7-6】
第2章 実施体制
(例)実施規程の項目
➡ 第2章-第4条(ストレスチェック制度担当者)
(例)実施規程
第4条 ストレスチェック制度の実施計画の策定及び計画に基づく実施の管理等の実務を担当するストレスチェック制度担当者は、*氏名 課職員とする。
2 ストレスチェック制度担当者の氏名は、別途、社内掲示板に掲載する等の方法により、社員に周知する。また、人事異動等により担当者の変更があった場合には、その 都度、同様の方法により社員に周知する。第5条のストレスチェックの実施者、第6条のストレスチェックの実施事務従事者、第7条の面接指導の実施者についても、同様の扱いとする。
【ポイント↓】
*ストレスチェック制度を導入・運用するうえで、要となる役割を担う人です。適切な人財を指名しましょう。
★本サイトでは、【Ⅱ-➂.2-1 ストレスチェック制度担当者】で解説しています。
➡ 第2章-第5条(ストレスチェックの実施者)
(例)実施規程
第5条 ストレスチェックの実施者は、会社の産業医及び保健師の2名とし、産業医を実施代表者、保健師を共同実施者とする。
【ポイント↓】
医師、保健師他、法律で定められた資格者を指名しましょう。
★本サイトでは、【Ⅱ-➂.2-2】で解説しています。
➡ 第2章-第6条(ストレスチェックの実施事務従事者)
(例)実施規程
第6条 実施者の指示のもと、ストレスチェックの実施事務従事者として指名されている者(衛生管理者等)に、ストレスチェックの実施日程の調整・連絡、調査票の配布、回収、データ入力等の各種事務処理を担当させる。
2 衛生管理者等の職員であっても、社員の人事に関して権限を有する者(課長、調査役等)は、これらのストレスチェックに関する個人情報を取り扱う業務に従事しない。
【ポイント↓】
事業者は、実施事務従事者として人事権を有さない衛生管理者等を指名しましょう。
*ストレスチェック制度の影のキ-パ-ソン、言わば、縁の下の力持ちとなって取り組んでもらう役割があります。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 2-3】で解説しています。
➡ 第2章-第7条(面接指導の実施者)
(例)実施規程
第7条 ストレスチェックの結果に基づく面接指導は、会社の産業医が実施する。
【ポイント↓】
ストレスチェックの結果、高ストレスで医師の面接指導が必要になった場合に、対応する役割を担っています。依頼をしましょう。
*会社の産業医が実施できれば望ましいのですが、それが不可能の場合は、外部の医師に依頼をする事になります。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 2-4】で解説しています。
第3章 ストレスチェック制度の実施方法
(例)実施規程の項目:節
第3章-第1節-ストレスチェック【第8条~第16条】
(例)実施規程の項目
第12条(ストレスの程度の評価方法・高ストレス者の選定方法)
第16条(ストレスチェックを受けるのに要する賃金の取り扱い)
➡ 第3章-第1節-第8条(実施時期)
(例)実施規程
第8条 ストレスチェックは、毎年 月から 月の間のいずれかの1週間の期間を部署ごとに設定し、実施する。
【ポイント↓】
実施月を決めて、記入しましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 3-3-1、3-3-2】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第9条(対象者)
(例)実施規程
第9条 ストレスチェックは、派遣社員も含む全ての社員を対象に実施する。ただし、派遣社員のストレスチェック結果は、集団ごとの集計・分析の目的のみに使用する。
2 ストレスチェック実施期間中に、出張等の業務上の都合によりストレスチェックを受けることができなかった社員に対しては、別途期間を設定して、ストレスチェックを実施する。
3 ストレスチェック実施期間に休職していた社員のうち、休職期間が1月以上の社員については、ストレスチェックの対象外とする
【ポイント↓】
第1章-第2条(適用範囲)と連動させて、具体的な対象者を決めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 3-3-3】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第10条(受検の方法等)
(例)実施規程
第10条 社員は、専門医療機関に通院中などの特別な事情がない限り、会社が設定した期間中にストレスチェックを受けるよう努めなければならない。
2 ストレスチェックは、社員の健康管理を適切に行い、メンタルヘルス不調を予防する目的で行うものであることから、ストレスチェックにおいて社員は自身のストレスの状況をありのままに回答すること。
3 会社は、なるべく全ての社員がストレスチェックを受けるよう、実施期間の開始日後に社員の受検の状況を把握し、受けていない社員に対して、実施事務従事者又は各職場の管理者(部門長など)を通じて受検の勧奨を行う。
【ポイント↓】
従業員への理解を促し、事業者含む管理者の協力が得られるような方法を決めましょう。
*ストレスチェック制度が根付くかどうかのとても大切なポイントです。
*そのため、方向性をきちんと定め、従業員と事業者を含む管理者との双方がきちんとその趣旨を理解し、共有するように周知しておきましょう。
★本サイトでは、【Ⅱ-➂.10】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第11条(調査票及び方法)
(例)実施規程
第11条 ストレスチェックは、別紙●●の調査票(職業性ストレス簡易調査票)を用いて行う。
【ポイント↓】
具体的にどのような調査票を、どのような媒体を使って行うのかを定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-②. step4】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第12条(ストレスチェックの程度の評価方法・高ストレス者の選定方法)
(例)実施規程
第12条 ストレスチェックの個人結果の評価は、「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(平成 27 年5月 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室)(以下「マニュアル」という。)に示されている素点換算表を用いて換算し、その結果をレ-ダ-チャ-トに示すことにより行う。
2 高ストレス者の選定は、マニュアルに示されている「評価基準の例(その1)」に準拠し、以下のいずれかを満たす者を高ストレス者とする。
① 「心身のストレス反応」(29 項目)の合計点数が 77 点以上である者
② 「仕事のストレス要因」(17 項目)及び「周囲のサポ-ト」(9項目)を合算した合計点数が76 点以上であって、かつ「心身のストレス反応」(29 項目)の合計点数が 63 点以上の者
【ポイント↓】
独自開発をしていない限りは、厚生労働省が推奨している評価基準を使用することになっていると思います。その場合、基準は、以下2つのいずれかになりますので、該当する方を定めましょう。ⅰ評価点を基準にする場合(通称、評価基準その1)、ⅱ要素換算表を基準にする場合(通称、評価基準その2)
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 3-2-2】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第13条(ストレス結果の通知方法)
(例)実施規程
第13条 ストレスチェックの個人結果の通知は、実施者の指示により、実施事務従事者が、実施者名で、各社員に電子メ-ルで行う。ただし、電子メ-ルが利用できない場合は、封筒に封入し、紙媒体で配布する。
【ポイント↓】
ストレスチェックをどのような媒体でやるのかによって、結果の通知方法が変わってきますので、きちんと定めて、受検者に通知しましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-1】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第14条(セルフケア)
(例)実施規程
第14条 社員は、ストレスチェックの結果及び結果に記載された実施者による助言・指導に基づいて、適切にストレスを軽減するためのセルフケアを行うように努めなければならない。
【ポイント↓】
ストレスチェックの目的は、セルフケアの促進です。そのため、ストレスチェックを受けただけで終わらせることなく、結果をもとにストレスへの意識を高め、またストレスとうまくつきあう術を身につけて、実践することが大事です。
*そのために、ストレスチェックの結果の内容を工夫したり、医師面接を充実させたり、あるいは研修を通じて教育する機会を通じて、セルフケアへの意識向上が望まれます。
➡ 第3章-第1節-第15条(会社への結果提供に関する同意の取得方法)
(例)実施規程
第15条 ストレスチェックの結果を電子メ-ル又は封筒により各社員に通知する際に、結果を会社に提供することについて同意するかどうかの意思確認を行う。
会社への結果提供に同意する場合は、社員は結果通知の電子メ-ルに添付又は封筒に同封された別紙●●の同意書に入力又は記入し、発信者あてに送付しなければならない。
2 同意書により、会社への結果通知に同意した社員については、実施者の指示により、実施事務従事者が、会社の人事労務部門に、社員に通知された結果の写しを提供する。
【ポイント↓】
会社が従業員のストレスチェックの結果を把握するかどうかを決めて、把握する場合はその取得の方法を厳密に定めましょう。
*この点は、一般健康診断とは異なり、従業員の結果の把握について会社が実施する場合は、従業員からの同意が必要になります。
*しかしながら、従業員にとっては、自分のストレス状態を会社に知られることに戸惑いや不安や抵抗があるのは当然です。
*そのため、会社としては、個人の結果の取り扱いについては、安全衛生委員会等も含めて十分に調査審議して決定することが肝要かと思います。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-6】で解説しています。
➡ 第3章-第1節-第16条(ストレスチェックを受けるのに要する賃金の取り扱い)
(例)実施規程
第16条 ストレスチェックを受けるのに要する時間は、業務時間として取り扱う。
2 社員は、業務時間中にストレスチェックを受けるものとし、管理者は、社員が業務時間中にストレスチェックを受けることができるよう配慮しなければならない。
【ポイント↓】
ストレスチェックを受けるのに要した時間については、賃金を支払うことが望ましいとされています。
*労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であると考えられるため。
第3章-第2節-医師による面接指導【第17条~第21条】
(例)実施規程の項目
➡ 第3章-第2節-第17条(面接指導の申出の方法)
(例)実施規程
第17条 ストレスチェックの結果、医師の面接指導を受ける必要があると判定された社員が、医師の面接指導を希望する場合は、結果通知の電子メ-ルに添付又は封筒に同封された別紙●●の面接指導申出書に入力又は記入し、結果通知の電子メ-ル又は封筒を受け取ってから 30 日以内に、発信者あてに送付しなければならない。
2 医師の面接指導を受ける必要があると判定された社員から、結果通知後 日以内に面接指導申出書の提出がなされない場合は、実施者の指示により、実施事務従事者が、実施者名で、該当する社員に電子メ-ル又は電話により、申出の勧奨を行う。 また、結果通知から30 日を経過する前日(当該日が休業日である場合は、それ以前 の最後の営業日)に、実施者の指示により、実施事務従事者が、実施者名で、該当する社員に電子メ-ル又は電話により、申出に関する最終的な意思確認を行う。なお、実施事務従事者は、電話で該当する社員に申出の勧奨又は最終的な意思確認を行う場合は、第三者にその社員が面接指導の対象者であることが知られることがないよう配慮しなければならない。
【ポイント↓】
第1項として、面接指導が必要な場合、その従業員が行うこと(申出書の記入・送付)を定めましょう。
第2項として、実施事務従事者が行うことを定めましょう(未申出者への面接勧奨)
*第1項の従業員からの申し出の手続きは、なるべくシンプルにして申し出やすい環境をつくりましょう。
*第2項の実施事務従事者からの面接勧奨は、記載例の通りにその情報の取り扱いについていては、十分な配慮と注意をしましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 3-4-2】で解説しています。
➡ 第3章-第2節-第18条(面接指導の実施方法)
(例)実施規程
第18条 面接指導の実施日時及び場所は、面接指導を実施する産業医の指示により、実施事務従事者が、該当する社員及び管理者に電子メ-ル又は電話により通知する。
面接指導の実施日時は、面接指導申出書が提出されてから、30 日以内に設定する。なお、実施事務従事者は、電話で該当する社員に実施日時及び場所を通知する場合は、第三者にその社員が面接指導の対象者であることが知られることがないよう配慮しな ければならない。
2 通知を受けた社員は、指定された日時に面接指導を受けるものとし、管理者は、社員が指定された日時に面接指導を受けることができるよう配慮しなければならない。
3 面接指導を行う場所は、 とする。
【ポイント↓】
第1項として、面接日時の調整に関することを定めましょう
第2項として、面接指導を受けるために、従業員と管理者がやるべきことを定めておきましょう。
第3項として、面接の場所を定めておきましょう。受検しやすい場所を準備してあげましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 3-5-1他】で解説しています。
➡ 第3章-第2節-第19条(面接指導結果に基づく医師の意見聴取方法)
(例)実施規程
第19条 会社は、産業医に対して、面接指導が終了してから遅くとも 30 日以内に、別紙●●の面接指導結果報告書兼意見書により、結果の報告及び意見の提出を求める。
【ポイント↓】
面接を実施した後の対応を定めておきましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-4他】で解説しています。
➡ 第3章-第2節-第20条(面接指導結果を踏まえた措置の実施方法)
(例)実施規程
第20条 面接指導の結果、就業上の措置が必要との意見書が産業医から提出され、人事異動を含めた就業上の措置を実施する場合は、人事労務部門の担当者が、産業医同席の上で、該当する社員に対して、就業上の措置の内容及びその理由等について説明を行う。
2 社員は、正当な理由がない限り、会社が指示する就業上の措置に従わなければなら ない。
【ポイント↓】
第1項として、従業員に就業上の措置を行う上での方法を定めておきましょう。
*就業上の措置を行う上では、情報の取り扱いには十分に注意しながら共有・検討をして、従業員に丁寧に説明をしましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-7】で解説しています。
➡ 第3章-第2節-第21条(面接指導を受けるのに要する時間の賃金の取り扱い)
(例)実施規程
第21条 面接指導を受けるのに要する時間は、業務時間として取り扱う。
【ポイント↓】
*ストレスチェック受検時と同じく、面接指導を受けるのに要した時間については、賃金を支払うことが望ましいとされています。
*労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であると考えられるため。
*但し、面接指導は、就業上の措置が望ましいとされた場合、1回で終わらずに複数回に渡る可能性があるということを承知しておきましょう。
第3章-第3節-集団ごとの集計・分析【第22条~第24条】
(例)実施規程の項目
➡ 第3章-第3節-第22条(集計・分析の対象集団)
(例)実施規程
第22条 ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析は、原則として、課ごとの単位で行う。ただし、10人未満の課については、同じ部門に属する他の課と合算して集計・分析を行う。
【ポイント↓】
ストレスチェックの結果から集団ごとの集計・分析を行う上での、単位を定めておきましょう。
また、10名を下回る場合は、どうするのかも定めておきましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-5】で解説しています。
➡ 第3章-第3節-第23条(集計・分析の方法)
(例)実施規程
第23条 集団ごとの集計・分析は、マニュアルに示されている仕事のストレス判定図を用いて行う。
【ポイント↓】
集団分析の集計や分析は、どのようなツ-ルを使って行うかを定めておきましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 4-1】で解説しています。
➡ 第3章-第3節-第24条(集計・分析結果の利用方法)
(例)実施規程
第24条 実施者の指示により、実施事務従事者が、会社の人事労務部門に、課ごとに集計・分析したストレスチェック結果(個人のストレスチェック結果が特定されない もの)を提供する。
2 会社は、課ごとに集計・分析された結果に基づき、必要に応じて、職場環境の改善のための措置を実施するとともに、必要に応じて集計・分析された結果に基づいて管理者に対して研修を行う。
社員は、会社が行う職場環境の改善のための措置の実施に協力しなければならない。
【ポイント↓】
第1項として、集団分析に必要な集計・分析を行う者を定め、また、その結果の情報の取り扱いについて定めておきましょう。
第2項として、集団分析の集計・分析の結果をどのように利用するのか、その方法を定めておきましょう
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-5】で解説しています。
第4章 記録の保存
(例)実施規程
第27条(ストレスチェック結果の記録の保存に関するセキュリティの確保)
第28条(事業者に提供されたストレスチェック結果・面接指導結果の保存方法)
➡ 第4章-第25条(ストレスチェック結果の記録の保存担当者)
(例)実施規程
第25条 ストレスチェック結果の記録の保存担当者は、第6条で実施事務従事者として規定されている衛生管理者とする。
【ポイント↓】
社内で保存する場合、産業医等の実施者または、実施事務従事者が保存者担当者として指名できますので、誰を保存担当者にするかを定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 6-1】で解説しています。
➡ 第4章-第26条(ストレスチェック結果の記録の保存期間・保存場所)
(例)実施規程
第26条 ストレスチェック結果の記録は、会社のサ-バ-内に5年間保存する。
【ポイント↓】
保存期間は、法律では5年間が必要とされています。保存場所は、紙なら施錠できる場所、電磁的記録なら専用のフォルダをつくり保存する場所を定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 6-2他】で解説しています。
➡ 第4章-第27条(ストレスチェック結果の記録の保存に関するセキュリティの確保)
(例)実施規程
第27条 保存担当者は、会社のサ-バ-内に保管されているストレスチェック結果が第三者に閲覧されることがないよう、責任をもって閲覧できるためのパスワ-ドの管理をしなければならない。
【ポイント↓】
電磁的に保存するならパスワ-ドの管理、紙で保存するなら鍵の管理を厳重にするなどをしてセキュリティ対策の方法を定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 6-2他】で解説しています。
➡ 第4章-第28条(事業者に提供されたストレスチェック結果・面接指導結果の保存方法)
(例)実施規程
第28条 会社の人事労務部門は、社員の同意を得て会社に提供されたストレスチェック結果の写し、実施者から提供された集団ごとの集計・分析結果、面接指導を実施した医師から提供された面接指導結果報告書兼意見書(面接指導結果の記録)を、社内で5年間保存する。
2 人事労務部門は、第三者に社内に保管されているこれらの資料が閲覧されることがないよう、責任をもって鍵の管理をしなければならない。
【ポイント↓】
第1項として、事業者に提供されたストレスチェック制度における各種の結果期間も5年間と定めましょう。
第2項として、ストレスチェック制度における各種の結果の保存については、セキュリティを確保するよう定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 6-2他】で解説しています。
第5章 ストレスチェック制度に関する情報管理
(例)実施規程の項目
➡ 第5章-第29条(ストレスチェック結果の共有範囲)
(例)実施規程
第29条 社員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果の写しは、人事労務部門内のみで保有し、他の部署の社員には提供しない。
【ポイント↓】
事業者側に提供されたストレスチェック結果は、むやみに共有することなくその範囲は必要最小限にとどめるように定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-7】で解説しています。
➡ 第5章-第30条(面接指導結果の共有範囲)
(例)実施規程
第30条 面接指導を実施した医師から提供された面接指導結果報告書兼意見書(面接指導結果の記録)は、人事労務部門内のみで保有し、そのうち就業上の措置の内容など、職務遂行上必要な情報に限定して、該当する社員の管理者及び上司に提供する。
【ポイント↓】
事業者側に提供された面接指導の結果は、人事労務部門および、当該社員の管理者等にどこまでの内容を共有するか、定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-4】で解説しています。
➡ 第5章-第31条(集団ごとの集計・分析結果の共有範囲)
(例)実施規程
第31条 実施者から提供された集計・分析結果は、人事労務部門で保有するとともに、課ごとの集計・分析結果については、当該課の管理者に提供する。
2 課ごとの集計・分析結果とその結果に基づいて実施した措置の内容は、衛生委員会に報告する。
【ポイント↓】
第1項として、実施者から提供された集計・分析結果を、人事労務部門で保有することに加え、各組織にどこまで共有するか、その範囲を定めましょう。
第2項として、実施者から提供された集計・分析結果を、衛生委員会でどこまでその内容をどこまで共有するか定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-5】で解説しています。
➡ 第5章-第32条(健康情報の取扱いの範囲)
(例)実施規程
第32条 ストレスチェック制度に関して取り扱われる社員の健康情報のうち、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の生デ-タや詳細な医学的情報は、産業医又は保健師が取り扱わなければならず、人事労務部門に関連情報を提供する際には、適切に加工しなければならない。
【ポイント↓】
*実施者が事業側に提供する健康情報については、いわゆる診断書と同じ扱いのように、適切に加工して情報を提供する必要がある旨を定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 7-3】で解説しています。
第6章 情報開示、訂正、追加及び削除と苦情処理
例)実施規程の項目
➡ 第6章-第33条(情報開示等の手続き)
(例)実施規程
第33条 社員は、ストレスチェック制度に関して情報の開示等を求める際には、所定の様式を、電子メ-ルにより * 課に提出しなければならない。
第31条 実施者から提供された集計・分析結果は、人事労務部門で保有するとともに、課ごとの集計・分析結果については、当該課の管理者に提供する。
2 課ごとの集計・分析結果とその結果に基づいて実施した措置の内容は、衛生委員会に報告する。
【ポイント↓】
課名を入れましょう。
従業員からの情報開示等の要望に対し、どのような手段でその手続きを行う必要があるかを定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 8】で解説しています。
➡ 第6章-第34条(苦情申し立ての手続き)
(例)実施規程
第34条 社員は、ストレスチェック制度に関する情報の開示等について苦情の申し立てを行う際には、所定の様式を、電子メ-ルにより* 課に提出しなければなら ない。
【ポイント↓】
*課名を入れましょう。
*従業員からの苦情に対し、どのような手段でその手続きを行う必要があるかを定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 9】で解説しています。
➡ 第6章-第35条(守秘義務)
(例)実施規程
第35条 社員からの情報開示等や苦情申し立てに対応する* 課の職員は、それらの職務を通じて知り得た社員の秘密(ストレスチェックの結果その他の社員の健康 情報)を、他人に漏らしてはならない。
【ポイント↓】
課名を入れましょう。
ストレスチェック制度においては、実施事務従事者も健康情報取り扱うことになることから、罰則付きの守秘義務が課せられているます(労働安全衛生法104条:健康診断等に関する秘密の保持)。守秘義務についても定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 8-2】で解説しています。
第7章:不利益な取り扱いの防止
➡ 第7章-第36条(会社が行わない行為)
(例)実施規程
第36条 会社は、社内掲示板に次の内容を掲示するほか、本規程を社員に配布することにより、ストレスチェック制度に関して、会社が次の行為を行わないことを社員に周知する。
一 ストレスチェック結果に基づき、医師による面接指導の申出を行った社員に対して、申出を行ったことを理由として、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
二 社員の同意を得て会社に提供されたストレスチェック結果に基づき、ストレスチェック結果を理由として、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
三 ストレスチェックを受けない社員に対して、受けないことを理由として、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
四 ストレスチェック結果を会社に提供することに同意しない社員に対して、同意しないことを理由として、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
五 医師による面接指導が必要とされたにもかかわらず、面接指導の申出を行わない社員に対して、申出を行わないことを理由として、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
六 就業上の措置を行うに当たって、医師による面接指導を実施する、面接指導を実施した産業医から意見を聴取するなど、労働安全衛生法及び労働安全衛生規則に定められた手順を踏まずに、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
七 面接指導の結果に基づいて、就業上の措置を行うに当たって、面接指導を実施した産業医の意見とはその内容・程度が著しく異なる等医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないものや、労働者の実情が考慮されていないものなど、 労働安全衛生法その他の法令に定められた要件を満たさない内容で、その社員に不利益となる取扱いを行うこと。
八 面接指導の結果に基づいて、就業上の措置として、次に掲げる措置を行うこと。
① 解雇すること。
② 期間を定めて雇用される社員について契約の更新をしないこと。
③ 退職勧奨を行うこと
④ 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更を命じること
⑤ その他の労働契約法との労働関係法令に違反する措置を講じること。
附則(施行期日)
第1条 この規程は、平成 年 月 日から施行する。
【ポイント↓】
厚生労働省から示されているこの『ストレスチェック制度の実施規程』(例)には、このように8項目についてあげられていますが、その他自社で想定されることがあれば、追加変更をして、定めましょう。
★本サイトでは、【 Ⅱ-➂. 11】で解説しています。