2.準備する① ストレスチェック制度「導入準備のポイントは、この6つ!」

      2016/10/13

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ストレスチェック導入準備 6つのポイント ストレスチェック制度は、新しく義務化された法律です。だから、新たな準備が必要です。ほとんどの会社様は、「何を、いつ、どんな手順で」準備しなければならないか、試行錯誤で進めているのが実態だと思います。

そのため、ストレスチェック制度が導入されて一番困ってしまうのが、事業所内の担当者です。仮に、外部のサービス機関にその役割を依頼しても、内部の者でしか対応できないことがあるので、導入や運用に必要な準備をしっかりしておきましょう。

そこでここでは、事業所の担当者が迷わず、しかもよりスム-ズに導入にするためのポイントをご紹介します。

1. ストレスチェック制度は、「3つのコース」から決める

「貴社では、ストレスチェック制度をどのように活用したいとお考えですか?」

例えば、
「せっかくの機会だから、積極的に取り組んでいきたい」
「まずは、やるべきことを理解したうえで、決めていきたい」
「今は、社内の状況が慌ただしいので、最低限の取り組みだけを行いたい」
「初めての制度なので、初年度はよくばらずに、確実に実施したい」
「なるべくコストを抑えて、やりたい」
「毎年やることになるのなら、自社に根づく取り組みとしたい」
「制度を担う担当者が限られているので、できれば外部に依頼したい」
「他者の実施状況を踏まえて、同じような取り組みをしていきたい」など

自社が置かれている状況によって、ストレスチェック制度をどのように活用するか、その方向性が変わってきます。また、ストレスチェック制度に係る法律・指針等でも、「何をどこまでやるのか?」といった、運用については、『各社次第!』ということで、任されています。

そのため、『Ⅰ-4-3-1. 導入に必要な準備』でも触れましたが、「目的・目標・計画」という枠組みで、どのように活用するか、自社の方向性を検討してみてください。具体的には、以下3つのコース(方向性)からいずれか一つを決めましょう。

  1. フルコース  :ストレスチェック+医師面談+集団分析+改善活動

  2. プラスαコース :ストレスチェック+医師面談+集団分析

  3. 必須コース  :ストレスチェック+医師面談

では、どのようにコース(方向性)を選んだらよいでしょうか。
その方向性を決めるにあたっては、自社内だけで検討する以外に、外部の資源にどのようなものがあるかを知っておくと、より具体的な準備に必要なことがわかってきます。次項では、外部資源の活用法についてご紹介します。

 

2.  「5ステップ」で情報を取り入れ、スムーズに導入する

ストレスチェック制度をスムーズに導入するためのポイントは、情報を効率的に得ることです。
下記に、5つの情報の収集方法をあげました。この5つのステップで情報を取り入れていくと、自社で取り組むべきコース(方向性)が、より明確に見えてきます。

step1】厚生労働省の公表資料【資料は印刷しておくと効率がよくなります】

step2 】ストレスチェック関連のセミナー【参加するとやる気が出ます】

step3】書籍【自社に必要な情報が具体的になります】

step4】公的な相談窓口 【一つの疑問を尋ねることで、次が見えてきます】

↓【step5】民間の専門機関*  【自社に必要なサ-ビスを提案してもらえます】

*民間の専門機関とは?
・EAPの会社*や、病院の健康管理センター、保険会社、システム系の会社、大学・研究機関等があげられます。
(*Employee Assistance Program:従業員を心理的にサポートするサービスを担う会社 )

また、制度を実施するに当たっては、多くの事業所が、『民間の専門機関』を活用されています。これらの専門機関が行っているサ-ビスは、概ね以下の通りです。
■ストレスチェックの実施や、結果の通知
■ストレスチェックの結果の集計・分析や、レポートの報告(・提案)
■医師による面接指導
■カウンセラ-等による相談対応
■セルフケア・ラインケア等の研修
■メンタルヘルスにおけるコンサルティング

自社で取り組むべきコ-ス(方向性)は決める上でまずは、情報を取り入れて、全体像をイメージしましょう。そして、必要に応じて民間の専門機関*のサービスを受けながら、スムーズな導入を目指しましょう。

 

3. 準備を具体化するために必要な「4人のキーマン」

準備するための4人のキーマンストレスチェック制度を導入するにあたっては、まずキ-マンを決めて企画し、そして衛生委員会で具体化していきましょう。なぜなら、衛生委員会ですべて一から調査審議するには、時間と手間がかかり現実的ではありません。
そのため、衛生委員会での調査審議をスム-ズに、そして現場の実態を反映させるためには、あらかじめキ-マンが企画しておくことが望まれます。

次節以降で触れますが、キ-マンとなり得るメンバ-は、次のひとたちがあげられます。キ-マンを中心に導入に必要な実施体制をまずは、つくりましょう。

(1)企画者・・・制度全体を企画する役割の人(人事労務担当・産業保健スタッフ等)
(2)実施者・・・産業医、保健師等
(3)実施事務従事者・・人事労務担当、衛生委員、メンタルヘルス推進者等
(4)事業者・・・経営者等

厚生労働省から示されている実施マニュアル等では、ストレスチェック制度の導入・実施については、全て衛生委員会での調査審議を通じて決めていくことが推奨されています。

そのため、外部の民間企業にまかせっきり(=丸投げ)では、ストレスチェック制度の趣旨(=熱)が社内に浸透しづらくなります。
また、社内のキ-マンが中心となって事前に企画してから、衛生委員会で調査審議するという、内部の社員を中心に準備していくことで、社内にストレスチェック制度の理解と協力の熱が広がっていきます。

 

4. 実施のやり方は、 「7つ」に絞って、実施規程をつくる

実施規程をつくる それおぞれを合わせて一つにするストレスチェック制度は、法律で定められた取り組みであり、毎年行うものなので、実施のやり方を定めておく必要があります。つまり、ストレスチェック制度における『実施規定』をきちんとつくって、運用することが求められています。

『実施規定』をつくるにあたっては、厚生労働省がその見本を準備してくれています。そのため、その見本を参考にして、事業所ごとにアレンジして、実施規程をつくりましょう。
厚生労働省から示されている実施規程の主な項目は、次の7つになっています。その実施規程の創り方については、【2-4. 実施規程のつくり方】をご覧ください。

(1)総則
(2)実施体制
(3)実施方法(ストレスチェック、医師による面接指導、職場環境改善)
(4)記録の保存
(5)ストレスチェック制度に関する情報管理
(6)情報開示、訂正、追加及び削除と苦情処理
(7)不利益な取り扱いの防止

実施規定は、以上の7項目について決めれば、ストレスチェック制度の運用に当たっては、基本的に対応できるものとなっています。

 

5. 外部機関を使わずに自社で実施するための「3ツール」

ストレスチェック制度を実施・運用するためには、ストレスチェックのアンケ-トを実施し、そして集計・分析ができなくてはいけません。アンケ-トは、対象者が多くなるほど、その実施や集計に手間がかかります。

そこで、次の2つのやり方から、いずれかを選ぶことが必要となります。
1つが外部の専門機関を活用する。2つが自社で行う。
いずれかを決めます。いずれにしても、メリットとデメリットがあります。前者の専門機関を活用する場合のポイントは、【第4章】でご紹介します。

ここでは、ストレスチェック制度のアンケ-トを自社で行う場合についてお伝えします。

自社でやる場合は、なるべく効率的に行いましょう。
そのためには、アナログ的に手作業で集計を行うのではなく、システムを活用してデジタル的に行います。そのために実は、『ストレスチェック実施プログラム』というものが、厚生労働省から提供されています。しかも“無料”です。

このストレスチェックにおける実施プログラムを自社で使用することができれば、外部の専門機関が提供しているサ-ビスを受けずとも、内部で行うことができます。加えてのこのプログラムを活用するメリットとしては、何度も実施が可能なので、必要に応じて、またタイムリ-に実施ができます。

厚生労働省が公開している『ストレスチェック実施プログラム』は、次の3本立てになっています。

(1)ストレスチェック制度実施プログラム
(ダウンロ-ドすれば、無料で何度も使用できます。)

(2)マニュアル3冊
(①設置・設定マニュアル、②実施者管理用、③受検者解凍用)

(3)プログラム専門の相談窓口
(無料の電話相談)

 

6.  ストレスチェック制度の成否が決まる「4つの周知活動」

ストレスチェック制度が義務化になったのだから、やっぱり、多くの社員に受検してもらいたいですよね。なぜなら、せっかく準備をしていますし、何より会社が元気なるためには一人一人の社員が元気でいることが大事なことですから。

ストレスチェック制度が自社に根づき、その目的を達成していくためには、社員の理解と主体的な参加が欠かせません。
仮に、せっかく“いいアンケート(=調査票)”を準備していても、実施する社員の数が少なければ、宝の持ち腐れです。また、実施人数が少ないほど、『集団分析』の精度が落ちてしまい、職場の状況を適切に把握することもできません。

ストレスチェック制度をスムーズに導入し、実施するためには、周知活動にも力を注ぎましょう。会社からのメッセージを、社員は感じています。そのため、例えば以下にあげるような周知活動を行って、多くの社員が受検してくれるような取り組みを行ってはいかがでしょうか。

(1)直接的PR
⇒4人のキ-マン(*前述3を参照)が従業員に向けて直接、周知する!
例)職場会議、朝礼、安全衛生委員会、事前説明会、事前研修

(2)間接的PR
⇒文字を通じて従業員一人ひとりに向けて、周知する!
例)メ-ル、プリントを配布、回覧

(3)環境的PR
⇒職場の環境を使って、周知する!
例)壁にポスタ-を掲示、社内のイントラネットシステムで周知

(4)イベント的PR
⇒前向き・楽しい取り組みと理解してもらえるように周知する!
例)実施率が80%の職場には、表彰・ごほうびのプレゼント!

ストレスチェック制度をスムーズに導入し、受検率を高めるには、何より社員の理解が必要です。上記にあげたような周知活動でのポイントとしては、事業者や上司からの前向きなメッセージがあると、より効果的です。ストレスチェック制度を社内に根づかせるためには、前向きな周知活動が欠かせません。

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 - 導入マニュアル2.【準備する】