1.【理解する③】

   

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「ストレスチェック制度」以外に知っておくべき指針がある!

貴社では、そもそも職場のメンタルヘルスに対して、ストレスとリラクゼーション看板
これまでどのような対応をされてきましたか?実は、これまでにも国は事業者に対して、職場のメンタルヘルスの指針等を示して、その対策を促していました。

そこでこれを機会に、職場におけるメンタルヘルス対策に総合的に見直されることをお勧めします。それぞれの取り組みを最大限に活かすには、全体像をしっかり描き、ニーズに応じた対応が効果的にだからです。そのためにまずは、どのような法令・指針等があるか、再確認しておきましょう。

➡ 3-1 ストレスチェック制度の義務化に伴う指針

2014年6月25日の労働安全衛生法の改正に伴って、『ストレスチェック及び面接指導の実施』が義務化されました。

この制度改正を受けて、2015年4月15日に『心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』が示されました。

従業員50以上の事業所は、次の①②が義務として、➂が努力義務として取り組みを行う必要があります。また、従業員50人未満は、①②➂は、全て努力義務となっています。

①『ストレスチェック』
②『医師による面接指導』
➂『集団分析』

➡ 3-2 わが国初の職場におけるメンタルヘルス指針

いつからでしょうか、職場のメンタルヘルスの必要性が叫ばれるようになったのは?わが国では、2000年の8月9日にいわゆる「職場のメンタル」の指針が初めて示されました。具体的には、厚生労働省から示された指針で、『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針について』というものでした。

3-2-1 メンタルヘルス指針が必要になった背景

この指針の背景の一つには、仕事に強いストレスを感じている労働者が年々増加し、1997年には働く人の過半数(63%)に達していたことが、厚生労働省の調査結果で明らかになっています。
また、その仕事のストレスで傷病欠勤する者や、長期休業者が発生するようになっていた背景があります。

一方、当時の社会問題化した事件も影響していると言われております。それは、2000年3月24日に最高裁判決として出されたある大手企業の裁判結果です。この最高裁判決をきっかけに、司法領域においても、職場のメンタルヘルスに関連した裁判が増えていったとされています。

このように、メンタルヘルス指針が必要になった背景には、仕事を通じて働く人の心の健康が損なわれてしまう事態や、労使の間でトラブルになってしまうケースが増え始めていたことが考えられます。

3-2-2 メンタルヘルス指針の中身

わが国初のメンタルヘルス指針は、事業場における労働者の心の健康の保持増進を図ることを目的としています。また、その他には、リスク管理も含まれ、さらに最近では、生産性の向上にも寄与するものと位置付けられています。

この指針には、事業者が行うことが望ましいとされる基本的なメンタルヘルスケアの、具体的な2つの実施方法が示されています。

その1.事業者における心の健康づくり計画の策定

①心の健康づくりの体制を整備すること
②問題点の把握等に関すること
③実施できる人材の確保と外部資源の活用
④労働者のプライバシ-への配慮
⑤その他必要な措置

その2.メンタルヘルスケアの具体的な進め方

①労働者自身による「セルフケア」
②管理監督者による「ラインによるケア」
③事業場内の健康管理担当者等による「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」
④事業場外の専門家による「事業場外資源によるケア」)。

これら4つのメンタルヘルスケアの推進が必要とされました。
メンタルヘルス指針には、これらの取り組みの必要性や、その進め方が示されています。

➡ 3-3 現行のメンタルヘルス指針

2000年に公示
『事業場における労働者の心の健康づくりのための指針について』

2006年に改正
『労働者の心の健康の保持増進のための指針』となりました。
現在、この指針をもとに、職場におけるメンタルヘルスの取り組みが求められています。

3-3-1 改正の理由

改正の理由としては、仕事のストレスを抱えている労働者が、依然として6割を超えているからです。また、精神障がい者等の労災補償の請求件数および認定件数が増えている実態があったからです。

そのため国としては、非常に重要な課題として取り上げて、職場のメンタルヘルスがより一層推進されることを求めて、指針を改正してその取り組みを企業に促しています。

3-3-2 改正の中身

指針の中身については、大きな変更はなく、「メンタルヘルスケアの具体的な進め方」が加わり、より効果的な取り組みとなるよう具体的に示されました。
上述【1-3-2-2.メンタルヘルス指針の中身】の4つのケアが適切に実施されるよう推奨されています。

①メンタルヘルスケアの教育研修・情報提供
②職場間環境の把握と改善
➂メンタルヘルス不調への気づきと対応
④職場復帰における支援

➡ 3-4 職場復帰支援の手引き

厚生労働省では、2004年にメンタルヘルス不調により休業した労働者に対する職場復帰を促進するために、事業場向けのマニュアルを出しました。
それが、『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』です。その後、何度か改定されています。

3-4-1 これまで、2つの取り組みが中心でした

厚生労働省から示されていた職場のメンタルヘルス関連施策は、
1つが『メンタルヘルス指針』
2つが『職場復帰支援の手引き」でした。

この『職場復帰支援の手引き』が示された理由としては、次の背景があるからです。
・仕事にストレスを感じる労働者が6割
・メンタルヘルス上の理由での休業・退職した労働者がいる事業所が7.6%(H19)

職場のメンタルヘルス活動をする上では、上述の【3-3.現行のメンタルヘルス指針】と、この『職場復帰支援の手引き』とは、セットで活用しましょう。
なぜなら、職場のメンタルヘルス活動では、労働者の心の健康問題の予防から、職場復帰に至るまでの総合的な対策が適切に講じられることが求めらているからです。

3-4-2 職場復帰支援は、5つのステップで

メンタルヘルスをサポートする 職場復帰メンタルヘルス不調で休業している労働者がスム-ズに復帰するためのポイントは、職場復帰プログラムや関連規定の整備等により、休業から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことです。

そのため、以下5つのステップで職場復帰支援を行うことが推奨されています。
なぜならば、職場復帰の体制があり、さらに適切な支援が行われることで、職場復帰がスムーズにいくからです。逆を言いますと、職場復帰を成功するには、職場の支援が不可欠です。例えるならば、心の不調によって長期療養した場合、言わば、”心のリハビリ”なしに職場復帰を成功させることはできません。少しずつ、経過を見ながら復帰の準備を着実に進めることで、必ず復帰率が上がり、同時に再発率を抑えることができます。職場復帰を成功させるには、職場復帰プログラムはとても有効な手段です。職場のメンタルヘルス対応については、別途、ご紹介をさせて頂きたいと考えています。

第1ステップ:病気休業開始および休業中のケア

第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断
 
第3ステップ:職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成

第4ステップ:最終的な職場復帰の決定

≪職場復帰≫

第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ

 

➡3-5 絶対必要な『過重労働対策』

厚生労働省では、2006年に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」をつくり、時間外・休日労働の削減、労働者の健康管理の徹底等を推進するよう、事業所に求めております。

3-5-1 健康障害のリスク予防策

~趣旨~
長時間にわたる仕事は、疲労がたまり、さらには脳・心臓疾患の発症との関連性が強い。
また、メンタルヘルス不調のきっかけになりかねません。

働くことによって労働者の健康が損なうことがあってはならないものであり、医学的な知見をふまえ、疲労回復できないような長時間労働を行わせてはいけません。

そのため労働者の疲労がたまらないような健康管理のために必要な措置として、事業者が行うべきこととして、過重労働による健康障害を防止するための措置が定められています。

3-5-2 事業者がとるべき対策

~医師による面接指導と、適切な事後措置が必要~

(1)長時間労働者に対し、面接指導等を実施しましょう
対象者①時間外・休日労働月100時間+申し出
対象者②時間外・休日労働月80時間(2~6か月平均)+申し出

(2)時間外・休日労働時間の算定・申出の手続きを定めましょう
☑ 算定:1カ月の時間外・休日労働=1カ月の総労働時間数ー(計算期間1カ月の総歴日数/7)×40
☑ 申出書:面接指導を申し出るための様式をつくりましょう

(3)医師からの意見聴取・面接指導の結果を記録しましょう
☑ 事業者は、医師から面接指導をした労働者の健康を守るために必要な措置を聴いて、対応しなけばいけません。
☑ 医師からの面接指導の結果の報告を保管しましょう。

(4)事後措置の実施をしましょう
☑ 事業者は、医師の意見を勘案して、適切に措置を実施する必要があります。
☑ メンタルヘルス不調が把握された場合は、必要に応じて専門医等の連携して対応しましょう。
☑ 特に、メンタルヘルス不調については、面接指導の結果を受けて不利益な取り扱いはしてはいけません。

(5)事業場で定める必要な措置の基準を決めましょう
衛生委員会等での調査審議も踏まえ、事業場で基準を定めて長時間労働に体操しましょう。
例1)時間外・休日労働が月100時間超及び2~6カ月平均80時間は、全て面接指導を実施
例2)時間外・休日労働が月45時間超の職場環境等について、産業医の助言指導を受ける

(6)面接指導の実施の準備をしましょう
月80時間を超える時間外・休日労働がした場合、申し出しやすい環境をつくりましょう。
☑ 労働者が自分の労働時間を確認できる仕組みづくり
☑ 申し出をするための体制づくり
☑ 労働者に対する体制を周知する

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 - 導入マニュアル1.【理解する】